東京サイド　episode.05

東京サイド　episode.04の続きになります。

episode.05　本編

忍びの頭（かしら）である月影一郎太からの指示に従い、大人しく小悪党レギウス三人組に捕まったまま車に乗せられ、都市部から遠く離れた過疎村の廃屋前へと連れて来られた錦織佳代。一応、月影党の仲間が途中から尾行して来ていて、近くに姿を潜めながら待機しているはずなのだが…。

「おい、何をキョロキョロしてるんだ？」
「…えっ！？ ああ、ごめん。何でもないから」
「いいか？　大声を出しても無駄だそ！　この村はもう数年前から人は一人も住んじゃいないんだ」
「へぇ～そうなんだ」

相変わらず佳代のあっけらかんとした態度に、三バカレギウスは1カ所に集まってひそひそ話を始める。

「ねえ剛ちゃん、この娘、やっぱりアタシたちを全然怖がってないないんじゃないの？」
「そんな筈はあるめぇ。最初にやられたのは所詮まぐれだ。俺たち3人が本気をだしゃあ、あんな小娘…」

「何勝手に3人だけで内緒話してんだか…」

人質の自分を放りっぱなしにしておいて、何を勝手に自分たちだけで秘密の話をしてるんだか…と佳代は内心で呆れた。そうこうしているうちに取引の相手=今回の事件の黒幕が到着した。豪華な黒塗りの高級車から降りて来た男は、上下黒のスーツに黒サングラスをかけており、どうやらどこかの組織の代理人（エージェント）のようだった。

「何だその女は？」

代理人は三バカレギウスと一緒にいる佳代を指差して尋ねた。まあ当然の疑問である。

「俺たちの取引に首を突っ込んで来た女や。面倒なんで捕まえておいた」
「まあいいだろう。その女の始末は後できっちりつけておけよ！　それでブツは？」
「その前に約束の金が先だよ」

グースレギウスに金を先に出すよう言われた代理人は、持っていたアタッシュケースを開き、中に一万円の札束がぎっしり詰まっているのをこちらに見せる。

「さあ、早くブツを見せろ！」
「ああ、ちょっと待ってな」

タートルレギウスは自分の甲羅の中に仕舞っていた鹿鳴茶碗を取り出した。

「……（あんなところに隠していたのね！？）」

息を呑みながらその様子を見届ける佳代。タートルレギウスと代理人が鹿鳴茶碗とアタッシュケースを同時に交換する。これでしばらくは金に困らないと大喜びする三バカだったが、渡された茶碗を調べた代理人はみるみる怒りの形相に！

「……（チッ、バレたか!!）」

一瞬、緊張が走る佳代。そして代理人は茶碗を地面に叩きつけた。そして茶碗は粉々に…。

「この茶碗は偽物だ！」
「えっ、んなアホな！？」
「アンタ、変な言いがかりはよして！　それは間違いなく綾小路邸で手に入れた物なんだからね！」
「黙れッ!!　とんだ無駄足を踏ませてくれたな。この償いはお前たち3人の命で払ってもらおう！」

代理人は、幻生種（伝説上の生き物がモチーフのレギウス）であるガルーダレギウスに変身した！
その身体から発せられる闘気のオーラが、明らかに三バカレギウスとは格が違い過ぎることを物語っている。

「ごごごご剛ちゃん、もしかしてアタシらとんでもないことに巻き込まれたんとちゃう？」(((( ；ﾟДﾟ)))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
「うろたえんなや！　相手は一人！　こっちは3人やぞ！」(((( ；ﾟДﾟ)))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
「そ、そうだよな。数ではこっちが有利だよな！」(((( ；ﾟДﾟ)))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
「あっ、UFOだ！！」
「えっ、どこどこ！？」

グースレギウスとタートルレギウスがUFOに気を取られている間、リーダー格のピッグレギウスは仲間を見捨てて自分一人だけ真っ先に逃げ出した。

「…そ、そりゃないぜオッサン！」
「何してんだいカメちゃん！　アタシたちも逃げるよ！！」

結局、三バカレギウスは全員一目散に逃げだした。この場に一人残された佳代を見て、ガルーダレギウスは声を掛ける。

「お前は逃げないのか？」
「そういうアンタこそ、あの三バカを逃がしちゃっていいの？」
「あんな雑魚どもはいつでも始末できる。そういう貴様こそ只者ではあるまい？」
「そうね。アタシもアンタに用があるの。古物盗品売買シンジゲートの黒幕に辿り着く糸口のアンタにね？」

佳代は自分を縛っていた縄からスルスルッと縄抜けしてみせると、着ていた私服を脱ぎ捨て一瞬の目にもとまらぬ速さで忍び装束へと早着替えした。

「伊賀月影党、錦織佳代！　参るッ!!」

この後、さすがの佳代もガルーダレギウス相手には大苦戦。危ういところを松平宗瑞から要請を受けた天凰輝シグフェルと月影党の仲間の忍びたちがようやく駆けつけて来て、ガルーダレギウスを撃破して勝利を収めることになるのであるが、戦闘シーンは割愛させていただく。

episode.05　エピローグ

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一方、無事に逃げ延びた三バカレギウスはというと…。

「オッサン、よくも俺たちを置き去りにして逃げたなぁ！」
「きっちり落とし前はつけてもらうよ～～！！」
「わ、悪かった！！　勘弁してくれぇッッ!!!!」

案の定、剛治はタキと雄平に2人がかりでフルボッコにされているのだったww

episode.05　END