聖騎士団現る！　第6話

オリハルコンの加工技術を狙う暗黒大博士の一味によって与那城咲琉が誘拐された。咲琉を救うため、瀬尾梨帆は自らと咲琉の身柄の交換を敵に申し出る。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

アップグレード

　人質交換が終わり、与那城咲琉は仲間たちのもとへ戻ってきた。
　無事に解放されたはずなのに、彼女の表情には安堵の色はない。

　「……私のせいで、梨帆さんが捕まってしまった……」
　膝に顔をうずめ、声を震わせる。

　その瞬間、三刀谷迅毅がずかずかと歩み寄り、鋭い声を響かせた。
　「えみるー！」
　咲琉が顔を上げる間もなく、一喝が飛ぶ。
　「大切な仲間が助けが来るのを信じて待ってるっていうのに、泣いてばかりしか出来ない奴は戦士じゃない！」

　咲琉の胸に、鋭くその言葉が突き刺さる。
　「……とーしーさん……」
　涙を拭い、唇を噛み締める。
　――泣いている場合じゃない。梨帆さんは今も必死に耐えている。

　その場にいたリュキシアスが静かに告げた。
　「取引の延長期限は三日後だ。だが、もとよりオリハルコンの加工技術を奴らに渡すつもりはない」

　彼は壁面のホログラムディスプレイを操作し、戦闘データの解析画面を映し出す。
　「今まで迅毅たちが実戦経験で蓄積してきたハイパーオリハルコンスーツの戦闘データをAIで解析し、様々な敵や状況に瞬時に対応できるようにする。それらを三日以内に心翔たちのスーツにも組み込み、アップグレードさせる」

　「やれやれ、三日以内とは無茶を言ってくれる」
　小柄な少女が、白衣の裾を翻して現れた。
　長い明るい茶色の髪の中から、特徴的なアホ毛がぴょこんと飛び出している。金と緑のオッドアイが、室内の光を反射して妖しく輝く。
　「だがやるしかないだろう。瀬尾梨帆の命がかかっているんだからな」

　アルマ＝ブラックバーン――アスカロン財団の技術研究開発部主任研究員。
　年齢十五歳にして、世界屈指のオリハルコン加工技術を持つ天才。
　リュキシアスから連絡を受け、急遽応援として財団本部から駆けつけて来てくれたのだ。
　彼女は端末に接続ケーブルを差し込み、怒涛の勢いで作業を開始した。

　「えみるー、立て」迅毅が咲琉の肩を叩く。
　「お前のスーツも三日で進化させる。梨帆を救うために、泣く暇があったら筋トレでもしておけ」

　「……うん！」咲琉は強くうなずいた。

　研究室には、キーボードを叩く音と、装置が起動する電子音が重なり合い、夜を徹しての戦いがすでに始まっていた。
　残された時間は――三日。

オリハルコン適合者の条件とは？

　冷たく薄暗い実験室の中で、瀬尾梨帆は立たされたまま拘束された両手を上から吊るされ、薄暗い照明の下で無数の計測機器に囲まれていた。
　白い光が時折、彼女の顔や身体を舐めるように走り、機械のモニターには意味不明な数値や波形が次々と映し出されていく。

　「……んっ、んんっ！」梨帆はガムテープで塞がれた口の中で歯を食いしばり、周囲の研究員たちを睨み返す。
　暗黒大博士のアジト。その地下深く、冷気のような静寂の中で、彼女はひとり囚われの身となっていた。

　「何っ？　分からんだと！？」
　奥の観察室で映像を見ていた暗黒大博士が、椅子を蹴り飛ばす勢いで立ち上がった。
　助手たちが慌てて身をすくめる。

　「ハッ！　いろいろと手を尽くしましたが、オリハルコン適合の条件が解析不能でして！」
　「申し訳ございません！」

　博士の金属義肢がギリギリと軋みを上げる。
　「役立たずどもめ……」
　低く、重く呟く声に、室内の空気が一段と張り詰めた。

　博士はゆっくりと振り返り、鋭いサイバー義眼で梨帆を見据える。
　「かくなる上は……儂自ら調べ上げてくれよう！」

　その声には、獲物を見つけた捕食者のような熱が宿っていた。
　助手たちが慌てて計測台の周囲を空け、博士の義足が金属床を打ち鳴らす音が近づいてくる。
　梨帆は身動きが取れないまま、迫り来る巨影を睨み返した。
　――屈するわけにはいかない。

（つづく）