両親の留守中に自宅で一人で留守番をしていた女子大生の天帆美空は、その日の夜、脱獄犯の剛田克己と大石啄夫に強盗に押し入られる。幸いにして大した怪我もなく助かった美空だったが、今も脱獄犯は逃げ続けており、このままでは腹の虫が収まらない。そんな時、美空は早朝のジョギング中に脱獄犯の片割れ・大石が廃工場の中に入る現場を目撃した! たまたま近くを通りかかった幼馴染で同じ大学に通う織市奏陽をも巻き込んで、即席の素人探偵コンビは廃墟の中へと潜入し、大石を警察に逮捕させることに成功したのだが…。
後日、お礼参りに現れた剛田によって、美空は親友の星愛怜美花と一緒に誘拐されてしまった!
仲間割れ
「しばらくそこで大人しくしてな。すぐに終わるからよ」
「んんー!んむむぅぅー!!」
「んぐんんー!! んむむー!!」
森に連れて来た美空と怜美花を適当な木に括りつけると、剛田とその舎弟であるテツはシャベルを使って穴掘りを始めた。
「剛田さん、ここに宝石店から強奪した貴金属が埋まってるんですか?」
「ああ、大石から聞き出した話通りなら間違いねぇ…」
「その大石さんも今頃は黒焦げかぁ~。世の中って皮肉なもんッスねぇ…」
「フッ、大石…悪く思うなよ」( ̄ー ̄)ニヤリ
そして穴を掘り続けて20分ほどが経過した頃、ついに目相手のお宝が入っていると思われる木箱を発見したのだが……
「ちきしょー!! 大石の野郎ッ!! ふざけやがってー!!💢」
何故か怒りを露にする剛田。それもそのはず。木箱の中から出て来たのは、輝く宝石や貴金属の山ではなく、一片の紙切れであった。そしてその紙切れには、大石の汚い筆跡で「兄貴へ、この手紙を呼んでいるということは、アンタは俺を裏切って、今頃俺はこの世にはいないということだよな? だけど本当のお宝の隠し場所はここじゃねえ。残念だったなww ざまーみろい!!」と書かれていたのだった。
突然、テツが持っていた拳銃の銃口を、背後から剛田の後頭部に突きつける。
「テツ、いったい何の真似だ?」
「アンタもとんだポンコツだったな、剛田さんよぉ…。お宝が手に入らないんじゃ、もうアンタにも用はねえ。このままあの世に行きな!」
「貴様、今までお前の面倒を見てやって来た俺を裏切るのか!?」
「面倒? 冗談だろ。俺はアンタにパシリとして扱き使われて来た記憶しかないぜ。アンタを始末した後、俺はあの女の子たちを連れて海外に高飛びさせてもらうぜww」
「テツ、てめぇー💢」
「それにお宝を掘り出したら、俺のことも大石と同様に消すつもりだったんだろ? お互い様ってやつだよ。最後に笑うのは、一番賢かったこの俺だってことだ。じゃあ、アバよッッ!!」
非情にも拳銃の引き金を引くテツ。しかし拳銃はカチャッ、カチャッと音が鳴るだけで、一向に弾丸は発射されない。
「…な、なんで!? いったいどうなってやがる!?」
「フハハハハハ!! どうやら賢かったのは俺の方だったみたいだな。こんなこともあろうかと、事前にお前のハジキから弾は全部抜いておいたんだww」
「ち、ちきしょーッッ!!」
形勢逆転。ナイフを持った剛田に追い詰められたテツは役に立たない拳銃を投げ捨てると、背後が断崖絶壁であることにも気づかないままじわじわと後退りして、ついに足を踏み外して崖から落下してしまった。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「フッ、バカな奴だww」
事件解決
「…い、いない!? あの小娘どもどこに行きやがった!?」
テツを始末して美空たちが縛り付けられている場所に戻った剛田だったが、なんと美空と怜美花の姿がいなくなっていた。
「動くな! 警察だ!」
「お前は完全に包囲されているぞ!!」
「な、なにぃぃぃッッ!?」
そして大勢の警官隊と一緒にいた者たちの中には、焼け死んだと思われていた鷹松優姫と、その彼女に手錠をかけられ連行されて来た大石啄夫の姿も。
「やい剛田! よくも俺を〇そうとしやがったな!?」
「大石、貴様生きていやがったのか!?」
「ちなみにテツとか言ったかしら。崖から落ちた貴方の舎弟も無事よ。たまたま落ちたところが草叢が生い茂っていた場所でクッション代わりになったみたい」
「くっ…!!」_| ̄|○
こうして脱獄犯一味は全員御用となったのであった。
他の警官隊と待機していた笹南侑衣梨が鷹松優姫に報告する。
「先輩、お疲れ様です」
「侑衣梨、あの時は助かったわ。火が部屋一面に広がる中、貴女が床下からドリルで穴をあけてくれなかったら今頃わたしも大石も黒焦げになっていたかもね♪」
「先輩が奴らにボディチェックされることを想定して、身柄を引き渡した大石の靴の裏にこっそり発信器を仕掛けておいたとは、さすがの脱獄犯どもも気づかなかったようですねww」
「ところで保護した女子大生たちは?」
「今、パトカーの中で事情を聴取しているところです」
一方、パトカーの中での美空と怜美花はというと?
「怜美花、ごめん…本当にごめんね」( ノД`)シクシク…
「ほら、もう元気出して。いつまでも泣いてるなんて美空らしくないよ」
お互いの無事を喜び合っているのだった。
めでたしめでたし。
完
コメント
裏切りに次ぐ裏切り、いやなんともクズどもが楽しい騙し合いをしてくれてましたね~
結論…お前ら全員馬鹿だよ…
結局裏で糸引いてた組織はいなかったようですが、テツの奴、どんな伝手を使って美空ちゃんと怜美花ちゃんを連れて高飛びするつもりだったんだ?
そもそも、宝石が手に入らず金が払えないようだと、どこも相手してもらえないぞ…やっぱり馬鹿だ!
結局最後は全員逮捕…ってあれ、誰かが活躍しとる、ゆ…侑衣梨ちゃんッ!?
…いや~、君はやれば出来る子だと思ってたんだよ(嘘つけ!!
まさか…優姫さんの方がノープランだったとは…てっきり、捕まるところまで計算して色々策を張り巡らせているもんだと…優姫さんも有能なのかどうか解んなくなってきました…
>「怜美花、ごめん…本当にごめんね」( ノД`)シクシク…
>「ほら、もう元気出して。いつまでも泣いてるなんて美空らしくないよ」
これで美空ちゃんも少しは懲りたかな…3日経ったら忘れてそうな気が…
> まさか…優姫さんの方がノープランだったとは…てっきり、捕まるところまで計算して色々策を張り巡らせているもんだと…優姫さんも有能なのかどうか解んなくなってきました…
いや、一応侑衣梨ちゃんと作戦については事前に示し合わせています。分かりにくかったようで、申し訳ありませんでした🙇
> これで美空ちゃんも少しは懲りたかな…3日経ったら忘れてそうな気が…
DIDマニアの立場としては、美空ちゃんにはこれに懲りることなくこれからも果敢に危険な事件に首を突っ込んでほしいです!(←オイオイ💦)