ブライトバレーの休日　第5話

　コスモスの民の指導者である王女アリアナ=セレス=ヴェガは、こっそり艦から抜け出し、地球のパシフィックゲートウェイ島にいる橘拓斗たちのところへ向かった。アリアナを加え、前回の事件現場である廃工場を調べる拓斗たち。

　一方その頃、拓斗たちの通うエバーグレン高校の生徒が誘拐される事件が続発していて、アリアナも巻き込まれて誘拐されてしまった。

※文章は、一部chatGPTで生成しております。

誰もいない工房

　放課後、橘拓斗、滝沢俊彦、レイラ＝ジェーン＝ウィルソンの三人は、いつものように工房へと戻ってきた。だが、工房の扉を開けた瞬間、三人は違和感に気づく。

「……アリアナがいない？」

　拓斗が工房内を見回したが、そこにいるはずのアリアナの姿はなかった。

「まさか……出歩いたりしてないよな？」

「そんなことないでしょ？ 私たちが戻るまで、ここにいるようにって言っておいたはずだし……」

　俊彦も腕を組んで考え込む。

「とにかく、何があったのか手掛かりを探そう」

　そのとき、不意に工房のドアが開き、駆け込んできたのは、中村弘樹と滝沢美香だった。

「拓斗くん！ 大変なことがあったんだ！」

「どうした弘樹？ 何があったんだ？」

　拓斗が眉をひそめると、弘樹は息を整えながら説明を始めた。

「ここに来る途中、僕たち、ネオブラックマフィアの戦闘員に襲われたんだ。でも、通りすがりの女の子が助けを求めて大声を上げてくれたから、戦闘員たちは逃げていったんだよ」

「通りすがりの女の子？」

　レイラが疑問を口にすると、美香が申し訳なさそうに付け加える。

「でも、その子、私たちがお礼を言う前に姿を消しちゃったんです。確か紫色のショートヘアをしてたと思うんですけど、どんな服を着ていたのかまでは、よく見えなくて……」

「……間違いない。アリアナだ！」

　拓斗は確信したように言った。自分たちがいない間に何かを見つけ、それを直接自分たちに伝えようと外へ出てしまったに違いない。

「みんな、こっちへ来てくれ！」

　俊彦の声に呼ばれ、全員がパソコンの前に集まる。俊彦は、パソコンの電源がつけっぱなしになっていることに気づいたのだ。画面には、昨日レイラの昆虫型ドローンが撮影した廃墟内部の映像が映し出されていた。画面の一時停止された映像には、崩れた鉄骨の影にわずかに見え隠れする不自然な物体が確認できた。

「これだわ！」

　レイラが指をさす。

「アリアナ姫はこれを見つけて、私たちに知らせようとしたんだわ！」

「……えっ？ 今、姫って言った！？ どういうことなの、拓斗くん？」

　弘樹が驚いた顔で拓斗を見る。美香も混乱している。

「あー、その……ごめん！ 詳しい話は後でするから！」

　拓斗は慌てて言葉を濁す。

「とにかく、こうしちゃいられない！ 俊彦、レイラ、行くぞ！」

「弘樹くん、美香ちゃん、留守番お願い！」

「え～っ！？ ちょ、ちょっと待ってください！💦」

「僕たちには何が何だか！💦」

　訳が分からないままの弘樹と美香を工房に残し、拓斗、俊彦、レイラの三人は勢いよく外へ飛び出していった。

再び廃墟へ

　弘樹と美香が襲われた現場の周辺には、もうアリアナの姿はなかった。そこで昨日来た廃墟へと再び足を運んだ拓斗たち。相変わらず規制線が張られていて勝手に中には入れないようになっているが、いなくなったアリアナの安否に関わることなので、もう手段を四の五の選んではいられない。

「俺が中に入って、あの映像に映っていた箇所を調べて来る。二人はここで待機な！」

「待って拓斗！ これを持って行って。きっと役に立つはずよ」

　レイラは、昨日使った例の昆虫型ドローンを拓斗に手渡す。

「サンキュー、レイラ！」

　ドローンを笑顔で受け取った拓斗は、一人で慎重に周囲を警戒しながら廃墟の中へと侵入して行った。そしてあの映像に映っていた場所へと辿り着いたのだが――

「確かここだったはずだけど…」

　慎重に崩れた鉄骨へと接近する拓斗。そして暗闇の中から何かライトを点滅させながら微かに揺れるように動いているメカを発見する。

「コイツか…！」

　そのメカにそっと手を触れようとした瞬間、激しい光に包まれた拓斗は「うわあァァッッ!!」と叫びながら気を失ってしまった。

発見

「…ううっ、こ、ここは！？」

　気が付いて、周囲を見回しながらゆっくりと起き上がった拓斗。四方をコンクリートの壁と床に囲まれたここは、どうやら先程の廃墟とは全く別の場所らしい。あのメカは転送装置だったようだ。早速注意しながら探索を始めた拓斗は、やがてある部屋に辿り着くと、そこで柱に鎖で縛り付けられているアリアナとリン=シャンリンを発見したのだった！

「んぐぐ…んんんむぐぐッッ！！」
「んーっ‼うむぅぐぐぅぅっ‼」

「アリアナ！？ そしてシャンリンまで！ どうしてここに！？」

　すぐに拓斗に鎖を解いてもらうアリアナとシャンリン。両手が自由になった途端、アリアナは泣きながら拓斗に抱き着いた。

「あぁ～拓斗様！！ 怖かった！！」
「バカッ、どうして勝手に外に出かけたりしたんだ？」
「ごめんなさい。…でも、早く拓斗さまたちにお知らせしたくて」
「もういい。君が無事でよかった…」

　いい雰囲気になっている拓斗とアリアナだったが、その様子をすぐ傍で気まずそうに目を逸らしていたシャンリンは、たまらず「コホンッ！」と咳払いする。それにハッと気が付いた拓斗とアリアナは、慌てて離れて恥ずかしそうにお互い姿勢を正す。

「橘くん、まずは助けてくれてありがとう。でもそちらの女の子とはどういうご関係なの？」
「え～っと、話せば長くなるんだけどさぁ…。どこから説明したらいいのか💦」
「まぁ、拓斗さまのご学友でしたのね。はじめまして、アリアナ=セレス=ヴェガと申します。どうぞよしなに」
「…な、なんか変わった名前ね💦 私はリン=シャンリン。拓斗の学校のクラスメイトよ。よろしく」
「それよりもシャンリンはどうしてこんなところにいるんだ？ 風邪ひいて学校休んでたんじゃなかったのかよ？」
「それが分かんないのよね。学校からの帰り道に突然誘拐されたと思ったら、ここにずっと閉じ込められて、蛸の化け物にイヤらしいことをされたりして、もう最悪よ！」
「とにかく詳しい話は後だ。ここから早く脱出しよう！」

　だが、いざ脱出しようとする3人の前に、ネオブラックマフィアの怪人ガメドレイカー2世が立ちはだかった！

「待て貴様ら！ このまま逃げられるとでも思っているのか！？」

「しまった！ 見つかった！！」

果たして怪人に見つかってしまった拓斗たちの運命は！？

つづく。

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