BRAVERS EDITION episode.75

BRAVE SUCCESSION
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※この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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ホテル屋上に囚われた三人――紫城心翔美濃本敦瀬尾梨帆の救出に成功したブレイバーズ。その頃、事件の元凶である妖魔結社ザイザム戦略諜報参謀ビオベミラ黒百合ダークリリィ一味は、旗色が変わり始めたことで仲間割れを始めていた。

クリス救出

 ホテルの屋上で決死の救出作戦が敢行されている中、寺瀬詩郎フィリス=ミラ=エクセリアとは別行動をとっていたリネア=フリーデン=ヴァイサー獅場楓花稲垣健斗の3人は、まだ別の場所に囚われている仲間たちを捜索するため、ホテル西棟の倉庫に侵入していた。

 地下の倉庫内は、ほの暗く湿った空気に包まれていた。金属棚に積まれたダンボールの陰に、ひとりの少年が椅子に縛り付けられていた。

「んっ、んんっ…!!」

クリストフォロ=エヴァルド=コルティノーヴィス3世(ガムテープとロープ除く)は、Dreaminaで生成しました。

 金髪碧眼、整った顔立ち。――クリストフォロ=エヴァルド=コルティノーヴィス3世、通称クリス。

「クリスくん!?」

 先に彼の姿を見つけたのは、獅場楓花だった。少女は躊躇なく駆け寄ると、手早く縄を解き始める。

「クリスくん!大丈夫?」 「楓花さん、皆さん……すみません、ご心配をおかけしました。でも……今は時間がありません!」

 クリスは険しい表情のまま立ち上がり、焦燥を帯びた声で続けた。

「さっきまで、沢渡さんと錦織さんも一緒に囚われていたんです! でも……数分前、どこかへ連れて行かれてしまった!」

「なっ……! 優香さんと佳代さんが!?」と健斗が息を呑む。しかしここで健斗は、ある違和感を覚えた。クリスは、優香と佳代のことを普段は名前で呼ぶ。彼が他人行儀に彼女たちのことを苗字で呼んだところなど、今まで一度も見たことはない。

「急ぎましょう。彼女たちが危ないわ!」とリネアが頷き、すぐに出入り口の方へ向き直った、その時――

「待て! そいつは―!?」

健斗が気づいて叫んだ時には、もう遅かった。

「グハハハッ!! 〇ねェェェッッッ!!」

 唐突な嗤い声が、地下室の空気を切り裂いた。

「えっ……!?」

 背後から、何かが迫る気配。振り返った瞬間、楓花の肩を後ろから伸びた鋭い指が捉えた。

「キャアアッ!!」

 クリスの両手――否、“それ”の両手が、まるで鋭利な刃物のように変形していた。さっきまで無力に見えた少年が、今は醜悪な嗤いを浮かべるバイオクリーチャーへと豹変していたのだ。

 楓花が恐怖に目を見開いた、その刹那――。

 パンッ!!

 短く、鋭い銃声が響いた。

 撃たれた“偽クリス”の額に、小さな穴が開いた。そこから吹き出す黒い液体と共に、その身体はぐらりと傾き、力なく崩れ落ちた。瞬く間に泡のように溶けていき、その場には何も残らなかった。

「バイオクリーチャーだったのかよ……」健斗が唖然と呟いた。

 楓花はその場に尻もちをついたまま、震える声で言った。

「このクリスくん……偽物……? じゃあ、本物のクリスくんは……どこに……?」

「楓花姉ちゃん、大丈夫か?」

「…う、うん」

 健斗に抱き抱えてもらい、何とか立ち上がる楓花。ようやく見つけたと思ったクリスが偽者だったと分かり、彼女の落胆の気持ちは察するに余りある。そして倉庫内に、冷たい静寂が落ちた。

 そして、銃声のした方向――

 そこに、ひとりの男が立っていた。

 着崩した黒いスーツ、ラフに結ばれたネクタイ。無精ひげ混じりの顎に、鋭く光る目元。手に持った愛銃SIG PRO SP2340の銃口からは、まだ微かに煙が上がっていた。

「加藤さん……!?」とリネアが驚きの声を上げる。

 男はふっと煙を吐き、ガンのセーフティを戻しながらニヒルに笑った。

「よぉ。危ないところだったな、無事かリネア? それにそこのお嬢ちゃんとボーズもな」

 どこか軽口めいたその口調。しかし、その背に纏う空気は、地下室の薄闇すら切り裂く鋭さを秘めていた。

――加藤段十郎アスカロン財団所属、特務エージェント『ライトシーカー』。リネアの相棒である。

 再び銃をホルスターに納めると、彼はゆっくりと歩み寄りながら言った。

「どうやら、この辺りのエリアにはまだまだ厄介な仕掛けが残ってるみたいだな。本物のクリス坊ちゃんの居場所も含めて、全部ぶっ壊してやるとしようか」

 頼もしき男の登場に、リネアは思わず安堵の息を漏らした。楓花もまた、心細さに震える手を強く握り直す。

 ――暗闇の中に、一筋の光が射した。

 反撃は、地下からも始まろうとしていた。

突入

 重々しい空気が立ち込める、ホテル地下階の特設会議室――。

 薄暗い室内では、今まさに妖魔結社ザイザムの戦略諜報参謀ビオベミラと、黒百合、百合鴉が睨み合っていた。

 互いに一歩も引かぬ視線の応酬。

 ヴィラン同士の不穏な火花が散りかけたその時――。

 ドォン! と破砕音が響き、厚い壁を蹴破って、複数の光の粒が室内に雪崩れ込んだ。

「っ!? なに!?」

「遅れて悪かったなぁ……お前らには今回、随分と世話になったからな!💢」

 威風堂々と現れたのは、流星(オリオン)のハイテクオリハルコンスーツに身を包んだ紫城心翔。その背後には、獅王(レオ)の美濃本敦、翠蘭(スイラン)の瀬尾梨帆、天空(ゴッテス)のフィリス=ミラ=エクセリア、シブルリックオーダーチームが揃っていた。

「ホテルの従業員や宿泊客は全て解放したぞ!」と高らかに宣言する敦。

「たっぷりとお礼をしてあげる! 覚悟なさい!」と、梨帆が鋭く叫ぶ。

 その瞬間、ビオベミラの表情に一瞬の動揺が走る。それを見逃さなかったのは、黒百合だった。

「百合鴉!」

「はっ!」

 百合鴉が懐から放ったのは、強烈な閃光と煙を撒き散らす特殊煙幕弾。視界が一瞬で白に包まれ、室内に混乱が広がる。

「逃げるわよ――!」

 煙の中をすり抜けるように、黒百合と百合鴉はしっかりと人質となっていた沢渡優香と錦織佳代の両腕を抱えて跳躍。跳ねるようにして闇の中へと姿を消す。

「待てッ!!」心翔が咄嗟に追いすがるも、すでに彼女たちは階下へ向かう非常通路へ滑り込んでいた。

 煙が晴れ、状況を見渡したフィリスが低く息を吐く。

「……逃げたわね。」

「おやおや…仲間を連れて行かれてのに、追わなくていいのかしら?」

挑発的に問うビオベミラに、フィリスが答える。

「心配なら要らないわ! 黒百合の逃げた先には今頃シグフェル達が待ち構えているはずよ」

 薄く唇を吊り上げるビオベミラ。

「……面白い。では、お前たちはわたくしが直々に相手をしてくれよう。人間風情が、どこまで踊れるか――せいぜい見せてもらうとするわ」

 戦場は分断された。
 一方は人質奪還のための怒涛の追撃戦へ――
 一方は因縁の決戦へと突入していく。

 今、戦いは新たな局面を迎える。

つづく。


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コメント

  1. 旅鴉 より:

    詩郎くんとフィリスさんが屋上のジブリックオーダー救出に向かい、残った3人健斗くん、楓花ちゃん、リネアちゃんと、平均年齢が若いトリオ、リネアちゃんの18歳がまさかの最年長…

    そして新たに捕らわれた人質を発見、クリス氏が縛られ口をガムテープで塞がれ椅子に縛りつけられていた。
    漸く愛しき人と再会出来た楓花ちゃん、良かったね!

    >「さっきまで、沢渡さんと錦織さんも一緒に囚われていたんです! でも……数分前、どこかへ連れて行かれてしまった!」

    ん…?ここで違和感を感じた勘のいいガキ健斗くん、優香ちゃんと佳代ちゃんを下の名前で呼ぶはずのクリス氏が他人行儀に苗字で呼んでいたことに気づき、すぐさま偽物と看破したのだが…少し遅く、偽物クリス氏が楓花ちゃんに襲い掛かる、リネアもついていながら何をやってんだ!

    >「グハハハッ!! 〇ねェェェッッッ!!」

    美少女即〇すとか、貴様!

    >パンッ!!

    >短く、鋭い銃声が響いた。

    >撃たれた“偽クリス”の額に、小さな穴が開いた。そこから吹き出す黒い液体と共に、その身体はぐらりと傾き、力なく崩れ落ちた。瞬く間に泡のように溶けていき、その場には何も残らなかった。

    ここでやたら格好つけて現れたオッサン、加藤登場!
    いや、お前ビオベミラ様と黒百合姐さんのところ行ってたんじゃないんかい!
    てっきりあっちの邪魔に行ってるのかと思ってましたが、まあお蔭で美女の顔に傷がつかなくて良かったですが、こっちはなんとかパートナーと再会出来ましたね、クリス氏救出チームはこちらになりそうですね。

    >「どうやら、この辺りのエリアにはまだまだ厄介な仕掛けが残ってるみたいだな。本物のクリス坊ちゃんの居場所も含めて、全部ぶっ壊してやるとしようか」

    ハッタリじゃなかったのか黒百合姐さん…

    そして…黒百合姐さんとビオベミラ様の所には、ブチキレ状態のジブリックオーダーチームが…

    ここで黒百合姐さんチームはスタングレネードぶちかまし、人質2人をお米様抱っこして、戦線離脱、どんな力してんだこの2人は…

    そして残されたビオベミラ様…

    「……面白い。では、お前たちはわたくしが直々に相手をしてくれよう。人間風情が、どこまで踊れるか――せいぜい見せてもらうとするわ」

    なんだか死亡フラグ立ってますねビオベミラ様、次回で退場になっちゃうのかな…

    • > 美少女即〇すとか、貴様!

      まあ、あのビオベミラ様の手下ですからね。自ずとこうなるのは目に見えてましたね…💦

      > ここでやたら格好つけて現れたオッサン、加藤登場!

      段十郎にカッコイイ見せ場を作ることが出来てよかったです。彼もリネアちゃんのことが心配だったんですよ。

      > ここで黒百合姐さんチームはスタングレネードぶちかまし、人質2人をお米様抱っこして、戦線離脱、どんな力してんだこの2人は…

      やはり黒百合ダークリリィと百合鴉は、普通の人間ではなさそうです……。

      > なんだか死亡フラグ立ってますねビオベミラ様、次回で退場になっちゃうのかな…

      ホテルでの戦闘は、そろそろクライマックスですね。しかしこちらが片付いても、まだ鳳凰院優と漆崎亜沙美を攫った何者かとの対決が残っていますね。

  2. bakubond より:

    優香ちゃんと佳代ちゃんを苗字呼びしたところで偽クリスを見破った健斗君流石です。魔の手が楓花ちゃんに迫った時、銃弾が…‼そこにいたのは加藤氏…。こちらも黒百合(ダークリリー)様のトラップに感付いているようでいい見せ場を披露してくれましたね。クリス君に化けたバイオクリーチャーの最期、派手な爆死に切り替わる前のライダー怪人的でしたね。

     仲間割れのビオベミラと黒百合(ダークリリー)様と百合鵺様の前に戦闘態勢が整ったシブルリックオーダーが‼優香ちゃんと佳代ちゃんを連れ去ろうとする二人組を深追いせずシグフェルたちに任せ、自分たちはビオベミラとの決戦に…‼旅鴉様の予想通りこのまま退場してしまうんでしょうか…。
     
    >ホテルでの戦闘は、そろそろクライマックスですね。しかしこちらが片付いても、まだ鳳凰院優と漆崎亜沙美を攫った何者かとの対決が残っていますね。

     こちらのほうにも誰か援軍を差し向けないと二人に加えて星彩のルミナのDIDシーンをいきなり見せられることになりそうな…。

    • > 旅鴉様の予想通りこのまま退場してしまうんでしょうか…。

      今回退場することはないにせよ、退場の時期が近づいているのは間違いないですね。
      その時はまた、石鼠姐さんや闇牙坊みたいにアスカロン財団に捕まってしまうんでしょうか?
      それとも…?

      > こちらのほうにも誰か援軍を差し向けないと二人に加えて星彩のルミナのDIDシーンをいきなり見せられることになりそうな…。

      当ブログをご覧の皆さんは、むしろその事態をお望みではないでしょうか?( ̄ー ̄)ニヤリ
      洸介くんと陽平くんがいるせいで、美佳ちゃんも迂闊に再変身できませんからね。

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