ワームホールに呑み込まれ、異世界タシェニュヴルアのアルスネス島へと漂着した中村弘樹は、そこでシルカイ族の若きリーダー・レイヴンと出会う。シルカイ族に保護されていた女神官のエリュナは海賊ゲロム一家が放った密偵の本性を現し、レイヴンの妹セリーナを人質にとった!
この危機的状況の中、地球から橘拓斗、滝沢俊彦、レイラ=ジェーン=ウィルソンの3人がそれぞれの専用機アストラルロイドを駆って、時空と次元の壁を越えてタシェニュヴルアへと駆けつけて来た。連携してエリュナを捕らえ、セリーナを助け出すことに成功した拓斗たちだったが、脱獄したエリュナにレイラが捕まり……。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
謎の海竜メカ
荒くれ者たちの怒声に囲まれながら、レイラ=ジェーン=ウィルソンは岩場に立たされていた。波飛沫が風に砕け、無人島の入り江は今日もどんよりと重い空気に沈んでいる。
海賊の子分Aが怒りで顔を真っ赤にし、レイラの肩を乱暴につかんだ。
「このままじゃ売り物にならねえ! 早く操縦の仕方を教えろ、いいな!」
「何度言わせるの。あなたたちに渡すつもりはないわ」
レイラは震える心臓を抑え、毅然と睨み返した。
――渡すものですか。私が……私たちが守ってきたフェアリーライトを。
そもそも彼らに、生体認証の話が通じるはずはない。説明したところで「なら壊してみろ」程度の理解しか返ってこないだろう。
そんな考えがよぎった瞬間だった。
「どーしても言わないって言うならさぁ――」
ねっとりとした声とともに、ラヴィニアが現れた。
その腕には縄で動きを奪われ、猿轡をかまされた滝沢美香の姿があった。

レイラ=ジェーン=ウィルソンは、Dreamina: Create realistic talking avatars with AI avatar generatorで生成しました。
滝沢美香イラストは、KazuHanabi様。
「この娘の“体”に直接聞いたっていいんだよ?」
「んんーーっ!! んんーーっ!!」
美香は必死に体をよじるが、ラヴィニアの指が頬をなぞった途端、恐怖で全身が固まった。
レイラの血の気が一瞬で引いた。
「そんな……卑怯よ! 彼女は関係ないわ!」
「関係ない? あんたが口を割らないから、関係“ある”ようにしてあげるんだよ」
ラヴィニアが残酷な笑みを深め、美香の喉元へ短剣を寄せようとした――そのとき。
海面が、突然爆ぜた。
「ッ!?」
轟音とともに水柱が天へ伸び、海賊たちが思わず後ずさる。その中心から、巨大な影がゆっくりと姿を現した。

翡翠色の装甲が朝日に鈍く光り、海竜――シーサーペントを模した長大な機体が水を割って伸び上がる。蛇腹のように連なる装甲板が軋み、鋭い鳴動を響かせた。
海賊の子分A「な、何だあれは!?」
海賊の子分B「に、逃げろーッ!!」
海賊たちは蜘蛛の子を散らすように入り江へと駆け出した。
レイラは見上げたまま、呼吸を忘れていた。
緑の巨体はまるで生き物のように身をくねらせ、次の瞬間、口元の砲門を閃かせて海賊たちの後方へ牽制射撃を叩き込んだ。
爆煙と悲鳴が入り交じり、砂浜が震える。
「……あれは、一体?」
誰の味方なのか。
何のためにここに現れたのか。
恐怖と同時に、説明できない胸騒ぎがレイラの胸を締め付ける。
――まさか、救援……?
そんな淡い期待がかすめた瞬間、海竜型メカの双眸が、確かにこちらへ向けられたように見えた。
救援
翡翠色に輝く海竜型メカ――シーサーペントの腹部ハッチが、蒸気を吐きながらゆっくりと開いた。
海賊たちの足跡が砂に残る浜辺に、ひとりの男が飛び降りる。
「……レ、レイヴンさん!?」
レイラは目を見開き、言葉を失った。
戦場の暗がりから現れたその人物は、確かに彼女の知る青年、レイヴンだった。
そこへ、空を裂くエンジン音が響き、アクアライザーが海上に着水する。続いてブルーファントムが波間を滑るように接近してきた。
「レイラ、大丈夫か!?」
アクアライザーのコクピットから拓斗が飛び出し、レイラの腕につけられていた縄を素早くほどく。
「遅くなってすまない」
俊彦もブルーファントムから降り立ち、深く息を整えながら謝罪した。
「私は大丈夫よ。でも……驚いたわ」
レイラはまだ信じられない様子でレイヴンを見つめた。
「レイヴンさん、あなたの乗って来たロボットも……コスモスの民が造ったアストラルロイドなの?」
しかしレイヴンは首を振った。
「それを詳しく話してる暇はねぇ。それより……レイラさん」
彼の表情が鋭くなる。
「奴らの頭、ゲロムがどこにいるか分かるか?」
「知ってる。でもそれよりも大変なの!」
レイラの声が震えた。
「美香ちゃんも……さっきまでここにいたのよ。逃げた海賊たちに一緒に連れていかれたの!」
「ああ、それなら大丈夫だ」
拓斗は静かに言った。
頼もしいというより、どこか確信めいた声音で。
「奴らの逃げた先には“あいつ”がいるからな」
「……???」
レイラは意味が分からず戸惑うばかりだった。
◆ ◆ ◆
一方その頃。
「さっさとこっちに来るんだよ!!」
ラヴィニアは縄で縛ったままの美香を乱暴に引きずりながら、森を抜けた浜辺へ走っていた。
「んんーっ!! んんーっ!!」
美香は必死に抵抗するが、細腕ではどうにもならない。
だが――。
「……は?」
浜辺へ飛び出した瞬間、ラヴィニアは息を呑んだ。

潮風をはらんだマントを翻し、十数名のシルカイ族の戦士たちがすでに彼女の前に立ちはだかっていた。
さらに、その中心には――
「エリュナ。美香さんを放せ!」
普段はおどおどした表情しか見せない少年、弘樹の姿があった。
だが今の彼の顔つきは、まるで別人だった。
目は鋭く、全身は怒りで燃え上がり、握られた剣は震えもせずまっすぐラヴィニアを指している。
「フン……ひ弱な異世界人のガキの癖が!……返り討ちにしてやるよ!!」
ラヴィニアは美香を突き飛ばし、ナイフを抜いて飛びかかった。
だが――次の瞬間。
「ぐっ!? な、なんで……ッ!」
弘樹の剣が正確無比にラヴィニアの腕を弾き飛ばし、蹴りが腹を、肘が顎を捉える。
その動きは獣のようで、迷いが一切なかった。
「ば、バカな……アタイが……こんなガキ相手に……!」
ラヴィニアは悲鳴にもならない声を漏らし、そのまま力なく倒れ込んだ。
砂浜に沈むラヴィニアを一瞥すると、弘樹は走って美香の元へ駆け寄る。
「美香さん! 大丈夫? どこにも怪我はない?」
震える手で縄を解き、猿轡を外す。
「ひ、弘樹くん……私……うっ……ううっ……!!」
次の瞬間、美香は弘樹の胸に飛び込んだ。
張り詰めていた恐怖が一気に解け、堰を切ったように泣き出す。
弘樹は驚いたように目を瞬かせたが、すぐにそっと腕を回し、優しく抱きしめ返した。
「もう大丈夫だよ。美香さん。もう……誰にも触らせない」
その言葉は、普段の気弱な声とは違って、どこまでも強く、温かかった。
(つづく)

コメント