大の特撮ヒロインオタクでDIDマニアの中年男性サラリーマン・三田村次郎(仮名)は、ある日交通事故死して前世の記憶を持ったまま、過去に金曜夕方5時枠で放送されていた特撮番組『光銃戦隊ライレンジャー』の世界に、地球征服を企む敵組織「深海帝国デスパイザー」の首領「海皇ハメネス」として転生するのだった!
囚われたライピンク
「海皇様、ライピンクこと琴川玲奈を捕らえました!」
「まことか! でかした!」
すぐにでも玲奈をデスパイザーの本拠地・海底魔城へと連行するよう命じたいところだったが、それは本拠地に連れ込んだ捕虜に逃げられ、尚且つ救出に来た仲間にも本拠地に踏み込まれて大暴れされるという典型的な組織壊滅フラグに繋がる為、海皇直々に視察の名目で玲奈を監禁している前線基地へと赴くことになった。
前線基地へと到着した海皇ハメネスを、帝国№2の最高幹部で海皇に忠誠を誓う武人である宰将ギルーザ以下ヒラ幹部、怪人、戦闘員たちが整列して赤絨毯でお出迎えする。
「海皇陛下直々のご来臨、恐れ多きことにて恐悦至極に存じ奉ります」
「うむ、それでギルーザよ、琴川玲奈は今どのような状態におるのだ?」
「しっかり牢屋に閉じ込めております」
「それだけか?」
「…あの、それだけと申しますと?」
「玲奈の両手は縛るなどして拘束してあるのであろうな?」
「恐れながら監視は厳重な牢獄にござりますれば、そこまでの必要はないかと」
「愚か者ッッ!!」
海皇ハメネス怒りのお仕置きビームが、ギルーザ以下幹部たちに炸裂した!
「…か、海皇様!?」
「お前ともあろう者が甘すぎるぞギルーザ! もしや相手が女だと思って油断しておるのか!? 琴川玲奈の両手両足はしっかり拘束しておいて、我がデスパイザーにとって恨み重なるあの女から自由を完全に奪うのだ! よいな!?」
「も、申し訳ござりませぬ!💦 た、直ちにそのように!!」
「玲奈の拘束が終わったら人払いじゃ。しばらくは儂と玲奈の二人きりになるゆえ、お前たちは全員部屋の外に控えていよ!」
ハメネスは雑用に使う戦闘員一人だけを残して、他の部下たちを全員監禁部屋から追い出してしまった。
弄ばれる玲奈
監禁部屋の中で、琴川玲奈は両手両足を鎖に繋がれた状態で囚われていた。
「お前と直接会うのは初めてかな? はじめましてライピンク、いや琴川玲奈。儂の名は海皇ハメネス。深海帝国デスパイザーの支配者だ!」
「…あ、貴方が海皇ハメネス!? 私を一体どうするつもり!?」
「う~ん、いいねぇ。囚われのヒロインがまず第一に発するお決まりの台詞が“私を一体どうするつもり!?”だからね。実際に間近で聞くとゾクゾクするねぇ~♪」
「何を言っているの? ふざけないで!」
「まあそう怒るなよ。別にお前を取って食おうってわけじゃない。お前を存分に堪能していずれ飽きてきたら無傷で仲間の元に解放してやるよ。さてと……おい戦闘員、お前も手伝え!」
「キキ―ッ!!」
「イヤッ、何をするの!? 放して!!」
「んっ、んんっ…んむむぅぅー!!」
ハメネスと戦闘員によっていろいろな縛り方や猿轡をモデルとして試されてしまう玲奈。
「うん、いーねーいーねー♪ おい戦闘員、ちゃんと録画はしてあるだろうな?」
「キキ―ッ! バッチシでございます。あらゆる多方面の角度から録画して基地のサーバーにupしておりますので、後程いつでも編集が可能です!」
「よしっ、この仕事が済んだら、お前を怪人を通り越して儂直属の幹部に昇進させてやるぞ」
「キキ―ッ、ありがたき幸せ!」
傍からハメネスと戦闘員の会話を聞いていて、猿轡されて縛られた状態のまま困惑している玲奈。
「……んんっ(一体何を企んでいるの? 私が捕まっている動画を送り付けて、ライレンジャーの仲間を脅迫するつもりかしら?)」
そこへ外から扉を叩く部下の声が聞こえた。
「海皇様! ハメネス様!」
「何だ騒々しい? 今一番いいところなのに気の利かない奴め」
「大変でございます! 奴が…デモンドがやって来ました!」
「何っ!?」
獣魔侯デモンド見参!
獣魔侯デモンド――奴は戦隊側でも悪の組織側でもない第三勢力、所謂一匹狼のアウトローだ。その真の目的は、表向きは臣従している海皇ハメネスを倒して深海帝国デスパイザーを乗っ取ることにあるのは云わば公然の秘密だ。
「これはハメネス様、ご機嫌麗しゅう」
「今日は何の用だデモンド。今、儂は取り込み中なのだが?」
「恐れながらお人払いを」
「何っ?」
「お人払いをと申しております」
突然のデモンドの人払いの要求に、海皇の傍に控えていた宰将ギルーザは激昂する。
「無礼者ッ! 流れ者の一匹狼の分際で、海皇様に対し奉り人払いをせよとは!?」
「よいギルーザ、ここは下がっておれ。デモンド、話とやらを聞いてやろう。ただし手短にいたせよ」
「さすがはハメネス様、そこの武辺一筋の老害と違って話が分かっていらっしゃるww」
「ぐぬぬ…おのれ言わせておけば! もしよからぬことを企んでおったら、この魔剣で貴様を即一刀両断にしてくれるからな!」
ハメネスから人払いを命じられたギルーザは、デモンドに対して捨て台詞を吐いて退室した。臨時に設けられた前線基地の謁見の間で、ハメネスとデモンドは二人きりになる。
「なあハメネス、お前は来年度の戦隊――電甲戦隊アームブレイザーではブラックとバイオレット、どっちのヒロインが好きだった?」
「…き、貴様っ!? なぜその名称を知っている!?」
電甲戦隊アームブレイザー、それは光銃戦隊ライレンジャーの次年度に放映された戦隊シリーズ作品であり、シリーズ初の女性ブラック戦士が投入されてバイオレットの戦士とダブルヒロインを組んだことで話題を呼んだ作品だ。来年度に制作されたVシネマのVSシリーズにてライレンジャーと共演することになるとはいえ、この世界の住人が、今はまだその作品名(戦隊名)を知っている筈がない。果たして獣魔侯デモンドとは何者なのであろうか!?
つづく。
コメント
やっぱり捕まっちゃいましたね~玲奈ちゃ~ん!
>「恐れながら監視は厳重な牢獄にござりますれば、そこまでの必要はないかと」
なんだァ?てめェ……
捕まえたのは光銃戦隊ライレンジャーのはライピンクだぞ、解ってんのかこらァ…
何を油断してるんだ、牢に入れるだけで安全だとォ、馬鹿たれか、舐めてんのかこの仕事、拘束しとけば見張りの人数も減らせんだろうがァ、大体捕えた女捕虜を拘束しないでなんの意味があるんだこらァ?こんなふざけた部下など粛清してしまうべきかと…って思わず実況の旅鴉くんが出てくるところでした…(もう最後の方は支離滅裂)
ついでに言うとなぜ猿轡も必要かというと、まず捕虜が舌を噛んだりしないようにと、噛みついて抵抗されないようにと、他にうんぬん…(いやもういいから
とりあえず解ってない部下を折檻した後…お愉しみの時間ですね、そうですよね、このためにトラックにはねられたわけですからね~
>「…あ、貴方が海皇ハメネス!? 私を一体どうするつもり!?」
囚われのヒロインに言って欲しい言葉のベスト5以内に必ず入る言葉ですね、これがエロ同人とかだったらぐへへなのでしょうけど、ここは良い子のみんなが日曜朝に見る健全な世界、そんなことはありません!
ですが…性癖だけは歪めてあげましょう(そうやって自分は成長してしまった…
色んな玲奈ちゃんの捕らわれスタイルが見れて眼福ですね、転生した次郎さん(今はハメネスさん)は蠢いて呻いている玲奈ちゃんを見れてるでしょうから、羨ましいですね~
>「キキ―ッ! バッチシでございます。あらゆる多方面の角度から録画して基地のサーバーにupしておりますので、後程いつでも編集が可能です!」
君いいね、すごくいいよ、彼を作戦参謀にすべきです!
さて、ここでお客様、獣魔侯デモンド、敵か味方かカウボーイ的な奴ですね、
いきなり来て人払いとは生意気な、ジジイ…宰将ギルーザがご立腹だ。
ここは元サラリーマンの現海皇ハメネス様、どんな相手でも冷静に対応、営業やってたのかな?
話を聞いてみるとあれ…なんで来年度に制作されたVシネマのVSシリーズの話が出てくる…?
これは…もう1人の転生者現るって奴ですね、彼は志を同じとする味方となるべき人物なのか、それとも新たな自分だけのDID世界を作ろうと企む敵なのか、気になるところですね~
更に気になるのが、「シリーズ初の女性ブラック戦士が投入されてバイオレットの戦士とダブルヒロイン」、この配役が誰になるかですね!
> とりあえず解ってない部下を折檻した後…お愉しみの時間ですね、そうですよね、このためにトラックにはねられたわけですからね~
それにしても、なろう小説の異世界転生者は何で皆「トラックにはねられた」「ブラック企業に扱き使われて過労死した」みたいなのばっかりなんでしょう?
たまには「老衰で畳の上で天寿を全うした」というのもあってもよさそうなものですが。まあこの場でそれを論じてもしょうがありませんけれども(;^_^A アセアセ・・・
> これは…もう1人の転生者現るって奴ですね、彼は志を同じとする味方となるべき人物なのか、それとも新たな自分だけのDID世界を作ろうと企む敵なのか、気になるところですね~
もし彼が敵だとすれば厄介ですね。仮にデスパイザーの全ての部下が反旗を翻して一致団結して下剋上に及んだとしても、かる~くまとめて返り討ちにして圧勝できるほどぶっちぎりで強い戦闘力を誇る海皇ハメネス様ですが、もしデモンドが転生者だとすれば、奴は『光銃戦隊ライレンジャー』の最終回(ラスボス戦)を見ている可能性が高い。すなわちこの物語のラスボスである海皇ハメネスの倒し方(弱点)を知っているということです!
> 更に気になるのが、「シリーズ初の女性ブラック戦士が投入されてバイオレットの戦士とダブルヒロイン」、この配役が誰になるかですね!
現実世界の本家では女性グリーンや男性ピンクが実現していますからね。いずれ現実の東映戦隊シリーズにおいても女性ブラックの実現は遅かれ早かれ時間の問題だと思われます。
>これは…もう1人の転生者現るって奴ですね、彼は志を同じとする味方となるべき人物なのか、それとも新たな自分だけのDID世界を作ろうと企む敵なのか、気になるところですね~
更に気になるのが、「シリーズ初の女性ブラック戦士が投入されてバイオレットの戦士とダブルヒロイン」、この配役が誰になるかですね!
それを見極めるための
>「なあハメネス、お前は来年度の戦隊――電甲戦隊アームブレイザーではブラックとバイオレット、どっちのヒロインが好きだった?」
という問いかけになるんでしょうね。そして海皇ハメネスの答えと獣魔侯デモンドの考えが不一致ならバトル突入ということになると思います。
配色からしてどちらか片方には津雲露華ちゃんが来そうな気がします。まあ幼すぎるというのが難点にはなりそうですが…。
>たまには「老衰で畳の上で天寿を全うした」というのもあってもよさそうなものですが。まあこの場でそれを論じてもしょうがありませんけれども(;^_^A アセアセ・・・
セカンドライフを願いながらのそうした最期というのも確かにありですが、それではモチベーションとして少し弱いのかもしれませんね。
何か皆さん「電甲戦隊アームブレイザーのブラックヒロインとバイオレットヒロイン」もこれからSSに出て来るに違いない!と思い込まれていらっしゃるご様子と拝察しますが、出てくる予定はありませんよ(;^_^A アセアセ・・・ゴメンナサイ
でもブラックブレイザー(仮名)役に津雲露華ちゃんというのはイメージカラー的にピッタリですね。