サバゲ―サークル「DRYADES」の新規加入メンバーである上江洲紗樹は、夜に自宅近くで変質者に襲われたところを星彩のルミナに救われた。それ以来、紗樹はルミナの熱烈なファンとなる。
しかしその後、女子大生を狙った新たな拉致監禁事件が発生。アスカロン財団の加藤段十郎も喫茶店Lilyに姿を現し、またDRYADES代表を務める羽鳥瑠璃華の発案で学生たちによる自発的な夜間パトロールも始まり、事態は俄かに動き出す…。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
エターナルライバルVS夜叉の勘兵衛
鷺島市の外れ、工場跡が点在する薄暗い一角。その一棟の屋根の上に、黒い影が舞い降りた。

月光を背に受け、黒いシルクハットの鍔を指先で押さえながら着地する男――正義の怪盗紳士エターナルライバル。マスカレードマスクの奥の視線は鋭く、黒いタキシードとマントがビルの谷間から吹く風にはためく。
「……ここか。少女を喰らう闇の巣穴は」
低く、よく通る声。次の瞬間、彼は音もなく屋根を蹴り、天窓からアジト内部へと滑り込んだ。
内部は無機質なコンクリートの空間だった。剥き出しの電球が不気味に揺れ、その下に、ひときわ異様な存在が立っていた。

着流し姿に近い黒装束、筋骨隆々の体躯。顔には深い皺と無数の傷。腰には鈍く光る大太刀を提げている。
「ほう……怪盗、か」
唸るような低音が響く。
「儂の名は夜叉の勘兵衛だ。若いの、ここを嗅ぎつけるとは、運の尽きよ」
その眼には、人間とは思えぬ獣じみた光が宿っていた。ネオブラックマフィアに雇われた人攫い闇バイトの一人――その言葉では到底収まらない、時代劇の悪の用心棒そのものの気迫。
エターナルライバルは肩をすくめ、芝居がかった仕草で一礼した。
「夜叉とは物騒だ。だが――紳士の嗜みを邪魔する者には、相応のエスコートを用意せねばね」
次の瞬間、床を蹴る音が炸裂した。
大太刀が唸りを上げて振るわれる。だが、エターナルライバルは紙一重でかわし、マントを翻して距離を詰める。
「速い……!」
勘兵衛の舌打ちと同時に、拳と拳がぶつかり合った。人ならざる怪力と、研ぎ澄まされた技巧。火花散る激闘が数分続いた末――
「ぐ……ぉぉ……!」
最後は、エターナルライバルの一撃が勘兵衛の鳩尾を貫いた。巨体は膝をつき、そのまま崩れ落ちる。
「……悪役は、舞台袖で眠ってもらおう」
冷たく言い捨て、エターナルライバルは奥へと進んだ。
そこにあったのは、柱に縛り付けられた小さな影。

青いパーカーを着た少女が、ロープで拘束され、口には猿轡。怯え切った目でこちらを見上げている。
「――安心したまえ、お嬢さん」
エターナルライバルは即座に駆け寄り、ナイフでロープを断ち切った。
「大丈夫か!? どこにも怪我はないか?」
猿轡を外された瞬間、少女の堪えていた感情が決壊した。
「……っ、う……!」
彼女は咄嗟にエターナルライバルの胸に抱き着き、声を上げて泣き出した。震える背中に、彼はそっと手を回す。
「よく耐えた。もう、怖がる必要はない」
囁きは柔らかく、紳士的だった。
やがて夕刻が近づいた頃、外からサイレンの音が近づいてくる。パトカーの赤色灯が、割れた窓越しに明滅した。
警官たちに引き渡され、毛布に包まれた少女が無事に保護されるのを確認すると、エターナルライバルは静かに背を向けた。
「今宵の舞台は、ここまで……」
物陰に身を隠すと同時に、光が揺らぎ、怪盗紳士の姿は消えた。そこに立っていたのは、見慣れた男子高校生――逢沢彩人だった。
「ふぅ……」
安堵の息をついた、そのとき。
♪――♪
ポケットのスマホが震える。
「あれっ、瑠璃華さんからだ」

彩人は画面を開き、耳に当てた。
「もしもし瑠璃華さん? ……はい……はい……今夜7時に喫茶店Lily前に集合ですね。分かりました。必ず行きます」
通話を終え、彩人はスマホをしまう。
「自警団の夜間パトロール、か……」
彼は一度、空を見上げた。先ほどまで立っていた怪盗紳士の影を、誰にも気づかれない場所へ置き去りにして。
そして静かに、その場を後にした。
紗樹に忍び寄る魔手
ほぼ同時刻――上江洲家の玄関には、夜の気配が静かに満ち始めていた。

「ねぇお姉ちゃん、ホントに行くの?」
上江洲紗樹は不満げに声を上げた。見送る側の彼女に対し、姉の里恵は玄関で靴紐を結びながら振り返って、いつもの余裕の笑みを浮かべる。
「うん。待ち合わせ場所には瑠璃華たちの他に、報道部の男子たちも来てるはずだから」
「何でお姉ちゃんたちだけ? なんかズルい…」
唇を尖らせる紗樹に、里恵は軽く肩をすくめた。
「何言ってるの? 音祢ちゃんや美佳ちゃんも自宅でじっとしてるんだから。こういうことは年長組に任せなさい」
言い切られてしまい、紗樹はぐっと言葉を飲み込む。
「……くれぐれも、気をつけてね」
その一言には、からかいではない本心が滲んでいた。
「大丈夫♪」
里恵は明るく答え、ドアノブに手をかける。
「それより紗樹こそ、今日はお父さんもお母さんも用事で夜は留守なんだから。玄関の戸締りはしっかりとね」
「うん、分かった」
姉は軽く手を振り、夜の街へと出て行った。ドアが閉まる音が、やけに大きく響く。
玄関先で姉の気配が完全に消えたのを確認してから、紗樹は二階の自室へ戻った。ベッドに転がり、スマホを片手にタイムラインを流し見する。
――自警団、かぁ。
羨ましさと心配が入り混じった感情を持て余しながら、画面をスクロールしているうちに、時間の感覚は曖昧になっていった。
そのとき――
ピンポーン♪
突然鳴り響いたチャイムに、紗樹はビクリと体を跳ねさせた。
「……あれ?」
画面を消し、耳を澄ます。
「お姉ちゃん忘れ物でもしたのかな…?」
そう思い込んだまま、紗樹はベッドを降り、階段を下りた。胸の奥に、ほんのわずかな違和感が芽生えていたが、それを気のせいだと打ち消してしまう。
一階の玄関前に立ち、ため息交じりにドアノブへ手を伸ばす。
「もうっ、お姉ちゃんったら。忘れ物でもしたんでしょ? ホントにドジなんだか――」
鍵を外し、扉を開けた、その瞬間。
「……あ、あなたは誰!?」
紗樹の声が裏返った。
玄関の外に立っていたのは、見覚えのない男だった。夜の闇を背に、無言でこちらを見下ろしている。表情は読み取れず、ただ不自然なほど静かだ。
冷たい空気が、玄関の中へと流れ込む。
胸の鼓動が、一気に早まった。
――違う。お姉ちゃんじゃ、ない。
気づいた時にはもう遅かった。紗樹は、開けてしまった扉の向こうで、見知らぬ男と真正面から向き合っていた。
(つづく)

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