神出鬼没の大怪盗・鉄面卿が、会社社長・川上雄太郎氏(60)の邸宅に予告状を送り付けて来た!
川上社長が所蔵する時価十数億円もするアマゾンの秘宝『ナイルターザの腕輪』を今夜頂戴するという。武智探偵が出張中で不在の中、咲間警視から出動要請を受けた相馬晴彦たち武智探偵事務所の学生探偵たちは出動するのであった。
腕輪を死守せよ!
「君、あんな若い学生なんかに任せて大丈夫なんだろうねぇ?💦」
「ご心配なく。彼らは武智探偵の認めた優秀な探偵です」
名探偵・武智恭介本人が来てくれることを期待していた川上社長は、代わりにその弟子だとかいう大学生たちを寄こされたことに露骨にガッカリ感を隠さないが、咲間警視は至って涼しい顔だ。晴彦、梨奈、イサム、詩織の4人は他の捜査員たちと協力してそれぞれ警備のための配置につく。やがて予告の時間を迎えた。
「大変だァァッッ!! ナイルターザの腕輪が盗まれたぞォォッッ!!」
警報付きガラスケースの中に厳重に保管されていたはずのナイルターザの腕輪が、いつの間にかなくなっていたのである!
「ほら見ろ!言わんこっちゃない! 年端の行かないような探偵気取りの若造どもに警備を任せるからこんなことになるんだ! 警察は一体この責任をどう取るつもりだ!?💢」
「まあまあ川上社長、落ち着いてください」(;^_^A アセアセ・・・
「これが落ち着いていられるかァァッッ!!💢」
動揺して慌てふためく川上社長を必死に宥める咲間警視は、助けを求めるように視線を晴彦に向ける。
「大丈夫ですよ咲間さん、それに川上社長。腕輪はまだ盗まれちゃいません」
「何だと!? どういう意味だ!?」
晴彦は腕輪が収められていたはずのガラスケースの蓋を開けて何かを調べると、箱の底を持ち上げた。なんとケースは二重底になっており、下の方に腕輪が隠されていたのである!
「おそらく賊は、俺たちが既に腕輪は盗まれたものだと勘違いして注意が屋敷の外に向いている間に、隙を突いて二重底の下に隠しておいた本物の腕輪を持ち去るつもりだったんでしょう」
「いや~さすがは武智先生のお弟子さんだ。感服したよ」
さっきまで晴彦たちのことを学生とバカにしていた川上社長も、彼らのことを見直したようだ。
「では、腕輪は私が改めて金庫の方に運んでおくとしよう」
腕輪を金庫のある部屋へと持って行こうとする川上社長だったが、それを晴彦が止めた。
「待ってください。いや、待ちな鉄面卿!」
「…い、いきなり何を言い出すんだね君は!?」💦
「もう茶番は終わりだ。ケースに近づいて腕輪を二重底の下に隠しておけるのは、後にも先にも川上社長……いや、川上社長に成り済ましたアンタしかいない!」
そこへイサムと詩織に両脇を抱えられながら、身ぐるみを剥がれた本物の川上社長が現れた。
「晴彦、本物の川上社長なら助け出したよ!」
「清掃員のロッカーの中にずっと閉じ込められていたのです!」
「儂が本物だ! 儂が川上雄太郎だ!💦」
「さあ、もう観念しなさい鉄面卿!」
晴彦と梨奈や捜査員たちが偽者の川上社長を取り囲む。
「フフフッ…バレてしまったからには仕方がない!」
ニヤリと笑った偽川上社長は一瞬の変わり身で変装を解いた。その真の姿は、銀の仮面にシルクハットを被った怪人紳士、鉄面卿だったのである!
「学生探偵の諸君、正直今回は君たちのことを舐めていたよ。それについては素直に謝罪しよう。しかし私も鉄面卿と呼ばれた男。このまま手ぶらで帰る訳にはいかん!」
「何だと!? どういう意味だ!?」
「フハハハハハ!!!!」
突然、部屋の中が真っ暗になった。突然の停電で一瞬パニックになる空間。そして十数秒後に停電は解消され、部屋は明るさを取り戻したのだが……。
「た、大変なのです! イサムくんがいないのです!💦」
「何だって!?💦」
明かりが元に戻った途端、鉄面卿と共にイサムも忽然と姿を消していた。そして鉄面卿の声が木霊する。
「学生探偵の諸君、私は一度狙った獲物は必ず頂く。3日後にまたリベンジさせてもらおう。その間、君たちの仲間であるイサム=ルワン=ラーティラマート君の身柄を担保としてこちらでお預かりする。助けに来たかったらいつでも来たまえ。待っているよ。フフフッ…」
イサムを救え!
翌朝の武智探偵事務所…。
まさかイサムが鉄面卿に連れ去られるとは!? これは晴彦にとっても予想外だった。何しろイサムは母国で軍人としての訓練も受けている格闘技の使い手だ。おそらく武智探偵事務所では戦闘力は一番高いだろう。それが易々と鉄面卿に人質に取られてしまった。自らの不覚を痛感する晴彦。
「くっ、俺の油断のせいだ…!」
「晴彦くんだけのせいではないのです。油断をしていたのはみんなも同じなのです」
「人〇しをしない主義の鉄面卿のことだから、すぐにイサムくんの身に危険が及ぶような心配はないと思うけど…」
そこへ咲間警視が「悪いニュースだ」と言って事務所のドアを叩いて現れた。
「殿下は明日、フィオ王国を代表して日本の財界のお偉方とのレセプションに出席する予定なんだ。そこでは日本とフィオ王国との間にとって重要なレアメタル貿易協定に調印する予定だ。もし明日、その場にイサム殿下がいないとなると条約調印はご破算。我が国にとってもフィオ王国にとっても経済的ダメージは計り知れない」
「鉄面卿はそれを知っていてわざとイサムくんを連れ去ったのね!」
「結局タイムリミットは今日中か…! 詩織、イサムのGPSは追跡できるか?」
「もうやってるのです! GPS信号によると、イサムくんは今、横浜市○○区〇〇町のエリアにいるのです。でも鉄面卿ともあろう者が、イサムくんにつけてあるGPS装置に気づかないとは思えないのです」
「罠の可能性が高いって訳か。上等だ! 虎穴に入らずんば虎子を得ず!ってね♪ 梨奈、直ちに横浜に向かうぞ! 詩織は事務所で待機しながらサポートを頼む!」
「OK♪」
「了解なのです!」
念の為に詩織を事務所に待機させ、晴彦と梨奈は二人で横浜のB地区へと向かった!
脱出を試みるイサム
「んっ、んんっ…んぐぐっ!!」
イサムは気がつくと、四方が壁に囲まれた暗い部屋に縛られて監禁されていた。あの時、川上邸の部屋で突然停電が起き、誰かに背後からハンカチで鼻と口を塞がれて妙な薬品の匂いがしたと思ったら気を失い、それ以降の記憶がない。しかしそこは彼も武智探偵の薫陶を受けた学生探偵の端くれ。このような状況であっても、至って冷静であった。
「………(この程度で僕を捕まえたつもりかいww)」
イサムは隠し持っていた超小型の鑢を使って、手足を縛っていたロープを易々と切ることに成功した。
「さてと…次は……」
ここから逃げようにも、この部屋にはドアがない。四方壁だらけなのだ。しかしイサムは全く動揺する様子もなく、胸ポケットからライターを取り出して火をつけてみた。
「入口がある以上、出口だってどこかに必ずあるはずだ!」
微かにライターの火が靡いて風が吹いている方向を確認したイサムは、その方向の壁を押してみた。すると案の定、隠し扉を発見したのだ!
「き、君はいったい!?」💦
「んんーっ!!んんーっ!!」
扉を抜け出た先で、イサムは女子高生らしき制服姿の美少女が捕らえられている現場に遭遇した!
果たしてこの少女は何者なのであろうか!?
つづく。
コメント
大怪盗・鉄面卿VS武智探偵社(助手)!
狙われたアマゾンの秘宝『ナイルターザの腕輪』を、盗まれる寸前で見事な推理で阻止した晴彦くんと探偵社メンバー、
だが、このまますんなり鉄面卿ではなく、突然部屋が暗くなり、再び部屋に明かりが灯された時、1人姿を消した人物が…!
>「た、大変なのです! イサムくんがいないのです!💦」
>「何だって!?💦」
野郎かよ…ここは、梨奈ちゃんか詩織ちゃんだろ…なに持って帰ってんだよおまえ…
まあ、彼が選ばれたのには、重大な理由があったようですけど…
このまま、野郎単品の脱出劇になるのでは…って思ってましたが…
まさか、ここで登場とは…広田真衣ちゃん、待ってましたよ、いつ出るかいつ出るかと楽しみにしてました!
いきなりノーマルな縛りではなく、吊るしとはさっそくハードスタイルですね~
これからどんな活躍をしてくれるか楽しみですね!
でもここでイサムくんが彼女のナイト様に…あれ、真衣ちゃんにもコブがついてたような、幼馴染は負けフラグなのか…?
> でもここでイサムくんが彼女のナイト様に…あれ、真衣ちゃんにもコブがついてたような、幼馴染は負けフラグなのか…?
まあこれ以上野郎キャラを増やしても旅鴉様がガッカリ?されるだけですので、今回は夏幹時生くんの存在は抹消しておきましょう(;^_^A アセアセ・・・
広田真衣ちゃん、そろそろ出すタイミングかな?と思って初登場させてみました。梨奈ちゃんも(晴彦くんも一緒ですが…)現場に向かっておりますので、旅鴉様ご期待の「美女ましまし」展開には十分お応えできるかと思います( ̄ー ̄)ニヤリ