シブルリックオーダーとは、旧エクセリア王国の元第一王女フィリス=ミラ=エクセリアを総司令とする私設の特務騎士団である!
シブルリックオーダーの戦士として選ばれた紫城心翔、美濃本敦、瀬尾梨帆の3人は、最先端技術のハイテクオリハルコンスーツを身に纏い、地球征服を目論む悪の妖魔結社ザイザムと戦うのだ!
宿敵シブルリックオーダーの総司令の正体を今度こそ突き止めんとするザイザムは、妖魔人工作員T-007を送り込んで来た。T-007は、アメリカの某名門工科大学の名誉教授であるアビントン博士がシブルリックオーダーの科学顧問として新規に招聘されるとの情報をキャッチ! 早速彼は得意の変装術を用いてアビントン博士当人に成り済まし、シブルリックオーダーへの接触を試みた。
シブルリックオーダーからの連絡通り、指定された羽田空港近くの地下駐車場にて迎えを待つT-007の化けた偽アビントン博士。周囲には人っ子一人いない。そこへ磯崎詩歩が運転するワンボックスカーが近づいてきた偽アビントン博士の目の前で停車し、中から心翔と敦の二人が降りて来た。
「ドクターアビントンですね? 総司令からの指示でお迎えに上がりました」
「車に乗ってください」
心翔と敦に後部座席に案内されて一緒に車の中に乗り込む偽アビントン博士。
「早速ですが、シブルリックオーダーの基地の位置は秘密です。到着するまでこれを付けていただけますか?」
そう言って心翔が偽アビントン博士に渡したのは、アイマスクだった。それを見た途端、偽アビントン博士は憤慨した。
「き、君! そんなものを私につけろと言うのか!? 無礼だぞ!」
反発する態度を見せる偽アビントン博士に対して、怪訝な表情を見せる心翔と敦。
「これは博士の身の安全を守るための措置でもあるんです」
「もしどうしてもアイマスクをつけるのがイヤだったいうんなら、目的地に連れて行く訳にはいかないぜ」
「くっ……分かった。どうも年甲斐もなく我儘を言ってしまい、申し訳ない」
ここで心翔と敦の機嫌を損ねて、奴らの基地を突き止める前に追い返されては元も子もない。偽アビントン博士は素直に従い目隠しをつけることにした。そして3時間後……。
「博士、着きましたよ」
「もうアイマスクを外してもいいぜ!」
心翔と敦に促されアイマスクを外した瞬間、偽アビントン博士の目の前には驚きの光景が広がっていた。
「こ、これはもしや…宇宙ステーションか!?」
現在いる宇宙ステーションらしき建造物の中から窓を通して見える景色には、地球と月が映っていたのだ!
「………(シブルリックオーダーめ、こんなところに本拠地を構えていたとはな。敵ながら大したものだ)」
偽アビントン博士が内心感心していると、そこへ総司令のフィリスが挨拶にやって来た。
「お久しぶりです、ドクターアビントン。またお会いできて嬉しく思います」
「…ん、君は?」
「うふふ…お忘れですか? アメリカに留学していた際、先生には大変お世話になりましたフィリス=ミラ=エクセリアです」
「えっ!?…あ、あぁ~そ、そうだったねぇ💦 久しぶりだねフィリス君。元気そうで何よりだよ」
T-007が戸惑うのも無理はない。フィリスが過去にアメリカに留学していた際にアビントン博士に師事していたのは事実だが、彼女がシブルリックオーダーの総司令に就任するのに際し、旧エクセリア王家はフィリスの個人情報を全て抹消していた。本物のアビントン博士の交流関係は事前に全て頭に叩き込んでいた凄腕スパイのT-007と言えども、フィリスの顔も名前も存在すらも知らなかったのである。
「……(おかしい。アビントン博士の教え子にこんな小娘がいたか? そんな話は閲覧したデータにはなかったぞ。一体この女は何者だ…? エクセリア……もしかして、欧州の旧エクセリア王家と関係があるのか!?)」
「先生、どうかされましたか?」
「いや別に。しかし驚いたな。まさか君がシブルリックオーダーの総司令になっていたとは…」
「皆に支えられて何とかやっております。積もる話も山ほどありますが、それはまた後程。心翔!敦!先生にシュヴァイリビュートの中を案内して差し上げて」
「了解!」
「そっちは任せといてくれ」
心翔と敦にシュヴァイリビュート内部の各エリアを案内される偽アビントン博士。
第1区 警備課体育館
第2区 通信課
第3区 技術課
第4区 人事課
第5区 車両課
第6区 G.D.(←おそらくG.P.の読み間違い…というネタはきっと誰かがやってるんだろうなぁww)
第7区 作戦課
第8区 医務局
「G.D.って何だよ、おい…」と偽アビントン博士が声に出さず心の中でツッコミを入れている中、やがて一枚の分厚いセキュリティの厳重そうな扉の前に辿り着いた。
「ここは?」
「おっと、ここから先はまだ博士にも通すわけにはいかないぜ!」
「ここから先は立ち入り禁止区域です。この中に入れるのはフィリス……シブルリックオーダーの総司令ただ一人だけです」
そして、その日の夜…。
偽アビントン博士こと妖魔人工作員T-007は、用意された部屋から密かに抜け出して周囲の監視の目を掻い潜り、その立ち入り禁止区画とやらに侵入することに成功した。
「せっかくシブルリックオーダーのアジトと奴らの総司令の正体を突き止めたというのに、妨害電波のせいでザイザム本部との連絡が取れん。せめてこの中の秘密だけでも探り当ててやる」
「そこで何をしているの!?」
「――!!」
たまたま立ち入り禁止区画にの中にいたフィリスに、自分の怪しい動きを偶然見咎められてしまったT-007。
「アビントン博士、やはり貴方は本当の博士では……」
「見たなッ! ならば仕方がない。大人しくしてもらおう!」
「キャアアッ!!」
果たしてフィリスの運命は!?
つづく。
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