ラケットバッグを背負って、犯人一味から指定された郊外のとある廃ビルの中へと足を踏み入れた平瀬倫生。
「お~い! どこにいるんだ! 約束の物なら持ってきたぞ! どうせどこかから見張ってるんだろ! 返事をしろ!!」
倫生が大声を上げると、奥から二人組の中年男が現れた。
「ブツは持ってきたか?」
「ああ、ご覧の通りここにあるぜ!」
「開けて中を見せろ!」
犯人の男に指示され、倫生はバッグを地面に降ろしてジップを開けて中を見せる。バッグの中には白い粉の入った袋が小分けされて詰め込まれていた。
「よし。それじゃあそのままバッグをこっちに寄越せ!」
「バッグは沙織と交換だ! 沙織の無事な姿を見せてくれ! そうでなければバッグは渡さない!」
「チッ、まあいいだろう。ついて来い」
男たちに奥の部屋へと案内された倫生は、そこで口にガムテープを貼られて監禁されていた藤永沙織の姿を発見した。
「んんー! んんむむーっっ!!」
「さ、沙織ッ!?」
倫生は”もうこれには用はない”とばかりに例のラケットバッグをさっさと男たちに手渡して、たまらず沙織の傍へと駆け寄る。そしてそっと彼女の口から優しくガムテープを剥がし、手足を縛っていた縄も解いた。
「バカバカッ…とも君のバカッ! どうしてここに来たのよ! 私、とも君にもしものことがあったら…」
「…いいんだ。お前さえ無事でいてくれたら、俺はそれで」
「とも君…」
「さあ、2人で帰ろう」
泣きじゃくる沙織を優しく抱擁する倫生。そして沙織を抱え起こし、長居は無用とばかりにその場から立ち去ろうとするが、その前に男たちが立ち塞がった。
「おっと、待ちな!」
「何の真似だ! 俺たちにもう用はないはずだろ!?」
「そうはいかねえなぁ。お前たち二人は我々の顔を見ている。気の毒だが生かしてここから帰すわけにはいかないぜ!」
「どういう意味だ! 約束が違うぞ!」
「二人仲良くここでこの世から消えてもらうぜ!」( ̄ー ̄)ニヤリ
すると男の一人が胸元から拳銃を取り出し、銃口を倫生と沙織に向けたのだった!
「くそっ、騙したなッ!」
「とも君、私…怖い!!」
「大丈夫だ! 沙織は俺が守る!」
「お~最後まで見せつけてくれるねぇ。じゃあな、アバよお二人さん」
犯人の男が今にも拳銃の引き金を引こうとしたその時、突然倫生が声を上げて笑い出した。
「くくくっ…ふははは…アッハッハッハ!!!!!!」
「何だコイツ? 恐怖でとうとう気が触れやがったか?」
「そんなこったろうと思ったよ。こんなこともあろうかと思ってな。ラケットバッグの中身をここに持ってくる前に全部すり替えておいたんだ。よく調べてみな! その白い粉は全部ただの片栗粉だ!」
_人人人人人人人人人人人人人人人_
> な、なんだってー!! <
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| u ( _●_) ミ 彡 (_●_ ) u |● ● # ヽ
彡、 |∪| 、`\ / |∪| 彡 (_●_) u |
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倫生のその話を聞いて、びっくりする犯人二人組と沙織。犯人の一人が慌てて袋の中身を調べてみる。
「ま、間違いない。そいつの言っていることは本当だ! この袋の中身は全部片栗粉だぜ!」
「さあ、どうする? ここで俺たちを〇せば、欲しいブツの在処は永遠に分からなくなるけどなww」
「ちきしょー! ガキの癖に舐めやがってーッッ!!」
とりあえず犯人たちは沙織を再び縛り上げ、ついでに倫生も捕縛して二人に猿轡を噛ませた。
「んん、んんー!」
「んむぐぐ…んんむむー!!」
「コラッ、大人しくしろ!」
「ともかくこの二人をボスのところまで連れて行こう。そこでブツの在処を吐かせてやる」
果たして、倫生と沙織の運命は!?
コメント
泣きじゃくる沙織ちゃんをやさしく抱擁し、すんなり二人を返さないだろうと見越してバッグの中身をすり替える。いやあ倫生君いいとこばかり見せてくれますねえ。
すり替えられた中身は理人君、愛実ちゃんを通じて店主の朝比奈氏の手に…、ということになれば今回は理人君、愛実ちゃんのDID展開はお預けということになりそうですが…・そうすんなりいくのか、あるいは一波乱あってDID展開が来るのか…。その辺はもう完全に管理人様にお任せしました。少し早いかもしれませんが今年一年お疲れさまでした。管理人様を初め、皆様よいお年を‼
> すり替えられた中身は理人君、愛実ちゃんを通じて店主の朝比奈氏の手に…、
朝比奈テニスショップ&スクールのオーナーについての設定は一度リセットします。管理人としては「20代半ば~後半の若い女性で、理人たちのよき姉さん的存在(理人たちの同じ大学の先輩、OG)。本人はヒーローでも名探偵でもないが、親族に警察関係者がいる」というキャラ設定に変更しようかと検討中です。どちらにしろ理人たちのよき理解者であり、柔軟な思考の人物である点は同じですが。
> ということになれば今回は理人君、愛実ちゃんのDID展開はお預けということになりそうですが…
まさかまさか、お預けになんかしませんとも。次回後編では、後から倫生くんを追ってきた理人くんと愛実ちゃんも当然一緒に捕まって縛られちゃいます♪
> 少し早いかもしれませんが今年一年お疲れさまでした。管理人様を初め、皆様よいお年を‼
bakubond様には今年一年も大変お世話になりました。
来年もまた当ブログの応援よろしくお願い申し上げます。
思わぬ不運に見舞われ、捕らわれの身となった沙織ちゃん、そして勇敢にも1人助けに現れた倫生くん、そして感動的な出会い…格好いいですね…よし…撃とうこのリア充💢…
すいません…思わず売人側の思考が入ってきてしまいました…💦
これで無事に沙織ちゃんを取り戻せ万事解決…なわけないですよね、こんな外道どもがそれをすんなり許すわけもなく、ブツを取り返せればこっちのもの、あとはあの世へと仲良く旅立ってもらうだけと…って、そんなことはお見通しなんだよ!
ここはさすが倫生くん、片栗粉とすりかえておいたのさ!
こうゆう騙し合いの駆け引き、好きですね~、売人どものテンパリ絵文字も愉快ですね(笑
ここで、隠し持っていた片栗粉をばら撒き、ライターを取り出し「粉塵爆発って知ってるかァ?」っと売人共を脅す倫生くん…って展開もありかと思ったのですが、それは狂人すぎますね(笑
さて…これでより売人どもを怒らせ、沙織ちゃん共々ボスのところへと拉致されることとなってしまった倫生くん、新年早々大ピンチの予感ですね…はたしてこの窮地を脱することが出来るのであろうか…来年の続きが楽しみです!
本年も楽しませて頂きました、管理人様も、皆様もよいお年を!
> ここで、隠し持っていた片栗粉をばら撒き、ライターを取り出し「粉塵爆発って知ってるかァ?」っと売人共を脅す倫生くん…って展開もありかと思ったのですが、それは狂人すぎますね(笑
なるほど。普通のヒーロー物ならそういう展開もアリでいいですね。
しかしながら管理人の「もう少し倫生くんと沙織さんの縛られている姿を見ていたい!」という外道な心によって、悪者成敗と事件解決は来年に持ち越しとなるのでした(;^_^A アセアセ・・・
勿論今後の展開では、この二人に加えて後から追ってきた理人くんと愛実ちゃんにも一緒に捕まって縛られてもらいますw
元旦に投稿予定の解決編を楽しみにお待ちください。
> 本年も楽しませて頂きました、管理人様も、皆様もよいお年を!
こちらこそ今年は旅鴉様の感想コメントを楽しく拝読させて頂きました。
また来年もよろしくお願い申し上げます。