検非違使秘密任務禄　その九

ピラニアレギウスに誘拐された来島陽依を救うため、孝森祐宜、椿姫絢那、楓子は、三刀谷真玲、周翠琳と共に敵のアジトのログハウスへと突入した！

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

【決戦 — 九尾解放】

「小西李苑……ブレイバーズが特別指名手配している元・魔人銃士団ゼルバベル幹部！」

鋭く放たれた声が地下空間を切り裂く。
弓を構えた椿姫絢那が、その瞳で装甲の怪物を睨み据えた。

「あなたの身柄を、ここで拘束します！」

その宣言に、装甲の男は肩を揺らして笑った。
全身を覆うマゼンタの装甲がギラリと反射し、人工音のような笑いが部屋に響く。

「小西李苑？　……もうその名前は捨てたんでねぇ〜」

笑いを引きながら両腕を大きく広げる。

「ピラニアレギウス・パワードモードって呼んでもらえるかなぁ！！」

咆哮と同時に、両肩から伸びるブレードと腕部のスパイクが瞬時に展開。まさしく殺戮兵器の威容だった。

「陽依さんは任せて」
三刀谷真玲がそっと陽依を背後に庇う。

「後方は私たちが守る」
周翠琳もその横に立ち、気を巡らせる。

「行って、祐宜。絢那。……楓子」

「任せときっ！」

祐宜は一歩前に踏み出し、愛刀《空鳴》を静かに抜く。その刀身から淡い風が立ち昇った。

「さぁ来いや……ピラニアレギウス！」

戦闘は一瞬で火ぶたを切った。

祐宜の《空鳴》が風を切り、絢那の弓が鋭い矢を放ち、楓子は手の指を伸ばし、鋭く変化させた爪で斬撃を繰り出す。

だが——。

「ハッ、ハッ、ハッ……その程度かァァ！！」

ピラニアレギウスの肉体は戦闘用サイボーグ化されている。尋常な斬撃や衝撃では通じない。
刀は装甲で弾かれ、矢は跳ね返され、楓子の爪ですら通らない。

「チッ……厄介やな……！」

祐宜が歯を食いしばる。このままではジリ貧だ。

そのときだった。絢那が鋭く声を放つ。

「楓子——封印、解くわよ！！」

「分かったコン！！」

即座に楓子は瞳を閉じ、絢那は手を楓子の胸に当てた。

「——変化、解放……！」

瞬間、光の奔流が楓子の身体を包む。
その姿が一気に拡大し、白銀の毛並みがあたりを覆う。

巨大な九尾の狐——楓子の変身体が地下室の天井すれすれまでその全身を広げて出現した。

「う、うわぁっ！？　なんだこの化け物はァ！？」

さすがのピラニアレギウスも、一瞬たじろぐ。

「——私たちの仲間、なめないで！」

巨大な尾が一本、横薙ぎに振り抜かれた。

「ぐっはァァァァァッッ！！」

爆風と共に、ピラニアレギウスが吹き飛ばされ、装甲が幾つか剥がれ落ちる。

「今です、先輩ッ！！」
絢那が叫ぶ。

「任せとけぇ！！」

風を纏う《空鳴》が煌めき、祐宜が一直線に跳躍した。

「喰らええええええぇぇぇッッ！！！」

振り下ろされた一撃が、ピラニアレギウスの胸部装甲を斬り裂いた。

「ぐわああああああああァァァァァッッ！！」

雷鳴のような咆哮と共に、彼の身体が大きく弾け飛び、床へと崩れ落ちる。

勝負は決した。

が——。

「……あれ……なんか、揺れとらへんか？」

楓子が地を踏みしめた直後、足元の床が微かに軋む音を立てた。

「——マズい！ 地下室が崩れるわ！！」

真玲の警告と同時に、天井から瓦礫が降り始めた。

「みんな、地上へ逃げるんや！！」

祐宜の声に全員が動く。
真玲が陽依を抱きかかえ、翠琳と絢那が周囲を警戒しつつ先導する。

九尾の楓子がその大きな体で崩落を一時的に食い止めつつ、最後尾で地上へと駆け上がった。

——その直後、地下空間は轟音と共に完全に崩壊した。

粉塵が舞い上がり、全てが瓦礫の中に沈む。

ピラニアレギウスの姿は……そこにはもうなかった。

祐宜は肩で息をしながら、閉ざされた地下への入口を見下ろす。

「……死んだか。いや、逃げおったかもしれへんが……」

「どちらにせよ……一件落着、ですね」
絢那がそう呟いた。

陽依はまだ震えていたが、その背を真玲がそっとさすった。

【真実と嘘、そして未来へ】

地下の瓦礫から脱出した祐宜たちは、風が肌を撫でる森の中にいた。

助け出された陽依は、真玲の背から降ろされ、自らの足で地に立っていた。足元はふらついていたが、強い意志を湛えた眼差しで、祐宜と絢那を見つめていた。

「祐宜さん……絢那さん……あなた方は、いったい……？」

小さな声に、祐宜はふっと微笑んだ。
だがその目は、ほんの少しだけ、戸惑いを滲ませていた。

「……すまんな。驚かせてもうたな……」

絢那が一歩前に出て、陽依の目をまっすぐに見つめる。

「陽依さん、実は私たち……朝廷からの密命を受けて動いている、検非違使なんです」

「け、けびいし……？」

陽依の唇が、驚きに震える。

「うん。いろいろ訳があって、身分を隠して動いてたんやけど……ごめんな。隠してて」

祐宜がそう言って頭を下げると、陽依はしばらく黙ったまま、二人の顔を交互に見つめた。

やがて、ぽつりと呟く。

「……そうだったんですか。なんだか納得です。強いわけですよね……」

そしてその目が、少し陰を帯びる。

「……でも……私、あの怪物から聞かされたんです……。パパが……本当は悪い人で、祐宜さんと絢那さんも殺されたって……」

肩を震わせながら、陽依は俯く。

「でも、二人とも無事だった……よかった……よかったけど……」

その震える声が問いかけに変わる。

「……パパが悪い人だって話も……当然嘘なんですよね？」

しん、と風が止まる。

祐宜はその場で立ち尽くしたまま、視線を外した。
しばしの沈黙のあと、彼は陽依の前にしゃがみ込み、柔らかな声で語りかける。

「——その通りや」

ゆっくりと頷いて、優しい微笑みを浮かべる。

「陽依ちゃんのパパは、何も悪いことなんかしとらへん。あれはただの怪物の戯言や。陽依ちゃんのパパはな、日本一の素敵なお父さんや」

その言葉に、陽依の目からぶわっと涙がこぼれ落ちる。

「……っ、よかった……ほんとに……」

絢那が静かに陽依の背を撫でた。

「大丈夫、もう悪い人はいない。怖いことも全部、終わったのよ」

と、そこへ真玲が腕時計をちらりと見て、ハッとしたように声を上げた。

「まずい！　パーティーの時間、もうギリギリよ！」

「そうやった！　急がな！！」

祐宜が立ち上がると、陽依の手をそっと取った。

「行こか、陽依ちゃん。誕生日、まだ終わってへんやろ？」

涙で潤んだ目を上げた陽依は、こくりと頷いた。

「……うんっ！」

楓子がその横で、元の人間形態でぴょんと飛び跳ねる。

「誕生日ケーキ残ってるかな～♪」

「帰って食べよな、いっぱい」

翠琳と真玲も微笑み、五人は林を抜けて、再び歩き出す。

少女の笑顔を守るための嘘——
それは、検非違使としての務めの一部であり、ひとりの青年の優しさの証でもあった。

——今はまだ、知らなくていい。

真実のすべては、いつか陽依自身が、自分の力で知るその時まで。

そしてその日が来たとしても、今日という誕生日だけは、幸せな記憶のままであってほしい——祐宜は、心からそう願っていた。

【陽依の夜明け】

京都の高級ホテル「月見山荘」。
黄金色のシャンデリアが煌めくバンケットホールでは、来島家主催の盛大な誕生日パーティーが開かれていた。
タキシードや絹のドレスに身を包んだ政財界の名士たちが談笑を交わし、優雅な弦楽四重奏が空気に品位を添えている。

その中心で、主催者の衆議院議員・来島士門は、見た目こそ余裕ある笑みを浮かべていたが、その内心では焦燥と不安がせめぎ合っていた。

（陽依……一体どこに……）

娘が姿を消してから数時間。
表向きには平静を装っていたが、時計の針が無情に進むたび、士門の心は確実に揺らいでいた。

そこへ、ひとりの賓客が何気ない口調で問いかける。

「そういえば来島さん、お嬢さんのお姿がまだ見えませんが？」

士門の表情が一瞬、ひきつる。

「そ、そ、それは……ちょっとした着替えに手間取っていましてね💦」

絞り出すような苦しい笑み。しかしその時だった。

ホールの扉が静かに、だが確かな存在感をもって開いた。

「パパ！」

振り向くと、そこには——
ロイヤルブルーのドレスに身を包み、頬に微笑みを浮かべた陽依が立っていた。

「陽依……！」

士門は思わず娘へ駆け寄り、その小さな身体を力強く抱きしめた。

「無事で……本当に、無事でよかった……」

「祐宜さんと絢那さんが、助けてくれたの。あの怪物から……私を」

娘の震える声に、士門はそっと瞼を閉じた。
そして、それを誤魔化すように背後を振り返ると、会場の隅には、スーツ姿の祐宜と淡紫のドレスに身を包んだ絢那の姿があった。

陽依は、司会者に促されて壇上へと向かい、来賓たちの前に立つ。
静かな拍手の中、スポットライトが彼女を照らす。

その場を離れた士門は、ゆっくりと祐宜たちのもとへ歩み寄ってきた。
その表情からは、感謝も謝意も感じられない。むしろ——冷笑。

「……これで、この私に貸しを作ったつもりか？」

低く静かな声音。しかし、その裏にあるのは剥き出しの敵意だった。

祐宜は一歩も引かず、その言葉を真正面から受け止めた。

「罪のない女の子を悪党から救うのは、京都の影の治安を担う検非違使として当然の任務や。この程度でお前に貸しを作ったなんて思うとらん」

絢那も負けじと前に出て、鋭い視線で士門を射抜く。

「いずれあなたの過去の悪行の数々も必ず暴いてみせます。それまで首を洗って待っていてください」

その言葉に、士門はふっと鼻で笑い、くるりと踵を返す。

「フン……まあ、お手並み拝見といこう」

そう捨て台詞を残し、会場の人ごみに紛れるように去っていった。

静けさが訪れる。
宴の喧騒から少しだけ外れた、その片隅で。

絢那はぽつりと呟いた。

「……先輩、これでよかったんでしょうか。陽依さんに父親のことを伏せておいたとしても、いずれ彼女も真実と向き合わなければならない日が必ず来ます。結局先送りにしただけだったのでは……」

その問いに、祐宜はしばしの間、無言で窓の向こうを見つめていた。
月が静かに雲間から顔を覗かせていた。

やがて彼は、少しだけ目を細めて、静かに呟いた。

「……かもな。でも今はこれでええ。これでいいんや」

少女の笑顔を守るための、ひとつの嘘。
それがやがて報われる日が来るかは、誰にもわからない。

けれどこの夜だけは、彼女にとってかけがえのない、幸福な記憶であってほしい——

祐宜も絢那も、そう信じて疑わなかった。

—

ホテルのホールでは、陽依のスピーチが始まっていた。
少し震える声、それでもしっかりと前を向いた眼差し。

「——今日は私のために集まってくださって、本当にありがとうございます」

拍手が起こる中、少女の笑顔は、誰よりもまぶしく輝いていた。

（終）

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