※一部文章は、Gemini及びchatGPTで生成しています。
夏の朝の目撃
薄明かりが差し込む静かな朝。蝉の声がまだまばらな中、夏幹時生はいつものように自転車を漕いでいた。通学路の桜並木は、新緑の葉を茂らせ、夏の到来を告げていた。少し遠回りになるが、この道を通るのが日課だ。
いつものように旧道を進み、少し寂れた路地裏に差し掛かった時、時生は不審な気配を感じた。路地奥に、黒いスーツを着た男たちが集まっている。彼らは、大きな段ボール箱を囲み、何かをやり取りしている様子。
「まさか…」
時生は自転車から降り、隠れてこっそりと様子を伺った。男たちは、段ボール箱を開け、中から出てきた白い粉を小分けにしてビニール袋に詰めている。その様子から、時生は彼らが違法薬物を取引していることを確信した。
「こんな所で…まさか…」
その時、男の一人が時生の気配を感じ、こちらに顔を向けた。
「誰だ!」
男の鋭い視線に、時生は心臓がドキドキと音を立てた。慌てて近くに置いてあった自転車に飛び乗ると、全速力でその場を離れた。男たちは時生を追いかけてきたが、時生は必死にペダルを漕ぎ、何とか彼らの目から逃れることができた。
近くの公園にたどり着き、木陰に隠れて息を整える時生。冷や汗が止まらない。まさか自分が、世界を震撼させる巨大犯罪組織の陰謀に巻き込まれることになるとは、まだ知る由もなかった。
合同任務
セントリネル・ハブ 長官室
安土市にそびえるブレイバーズ本部「セントリネル・ハブ」の長官室。その重厚な扉を勢いよく開けた稲垣健斗は、期待に満ちた表情で室内へと足を踏み入れた。
しかし、そこにいたのは彼の予想外の人物だった。
「銀髪メガネ! なんでお前がここにいるんだよ!?」
健斗は不満げな声を張り上げる。
室内にいた銀髪の青年――ICPO特命捜査官、彩堂寺戒は、ちらりと健斗に視線を向けたが、それだけだった。反応らしい反応を示さず、淡々と無言で立っている。
「国際刑事警察機構 International Criminal Police Organization」(略称:ICPO インターポール)は、本来は世界中から犯罪のデータをまとめたり、容疑者の手配情報を出すなどして加盟国の警察当局間の調整などを行う事務的組織であり、表向きには(よく映画や小説で描かれるような)国境を跨いだ捜査権や法執行権限はないとされる。その数少ない例外が、犯人の逮捕権も認められ、地球上に戒を含めた数人しか存在しない「特命捜査官」なのだ。
「おい、聞いてんのかよ! 無視してんじゃねえ!」
健斗はさらに食い下がるが、戒は肩を軽くすくめただけで、あくまで相手にしようとはしない。
「子供が騒ぐな。無駄にエネルギー使うぞ」
冷静そのものの戒の態度に、健斗はさらに苛立った。
「なんだと!? お前こそムカつくんだよ、その無表情と冷たい態度が!」
健斗は拳を握りしめ、今にも飛びかかりそうな勢いだ。
「まぁまぁ、健斗くん、落ち着いて」
長官の牧村光平が場を収めるべく声を上げた。軽い口調だが、その響きにはしっかりとした威厳が含まれている。
「今回、君たちに頼む任務について説明するぞ」
光平は健斗と戒の間に立ち、話を進めた。
任務内容の説明
「悪の組織ネオブラックマフィアの薬物取引現場を目撃してしまった高校生・夏幹時生君を、24時間体制でボディーガードしてほしい。それが今回の任務だ」
光平がそう告げると、健斗の表情が一気に曇った。
「なんだよそれ、聞いてないぞ! ボディーガードって…俺は佳代さんとバリバリ忍者っぽい任務ができると思ってたのに!」
「この仕事だって立派な任務だぞ。それに、今回は彩堂寺も一緒だ」
光平はそう言って、戒に目を向ける。
「ICPOからの依頼が絡んでいる件だ。ブレイバーズ単独で動くわけにはいかない。今回のメインは彩堂寺だけど、佳代ちゃんと健斗くんにはそのサポートをお願いしたいんだ」
「はぁ!? なんで銀髪メガネをサポートしなきゃならないんだよ!?」
健斗は露骨に不満そうな声を上げる。
「ボーズ、文句を言うな」
戒が静かに口を開く。その口調には冷たさよりも、どこか子供相手の余裕が漂っていた。
「お前がボディーガードに向いていないなら、俺一人でやるが――それでいいのか?」
「……っ!」
戒の挑発とも受け取れる言葉に、健斗は言い返せない。悔しそうに唇を噛む。
佳代のフォロー
錦織佳代が一歩前に出て、健斗の肩に手を置いた。
「健斗、少し落ち着きなよ。任務は任務よ。それに、戒だってわざわざ嫌がらせで一緒にいるわけじゃないんだから」
「佳代さん……」
健斗は少し気まずそうに目をそらすが、戒を見つめるその視線にはまだ反抗心が残っている。
「ごめんね戒。健斗も悪い子じゃないんだけど、どういう訳かつい張り合っちゃうのよ」
佳代が申し訳なさそうに言うと、戒は淡々とした声で答えた。
「気にはしてない。子供のすることだ」
その言葉に、健斗はカッとなる。
「子供じゃねえ! 俺だってちゃんと任務できるんだ!」
「なら、言葉じゃなく行動で示してみろ」
戒は冷静に言い放つ。
その余裕たっぷりの態度に、健斗の拳が震えた。
佳代は二人の間に立ち、深いため息をつく。
「先が思いやられるわ……」
光平も苦笑いしながら続けた。
「まぁまぁ。健斗くん、いろいろ思うところはあると思うけど、まずは彩堂寺と上手くやることだ。チームワークも任務の一環だからね」
こうして、険悪な雰囲気を抱えたまま、三人のボディーガード任務が始まるのだった。
つづく。
コメント
ブレイバーズの任務を任されて意気揚々と本部に乗り込んで来た健斗君を待っていたのは恋敵(と勝手に思っている)の彩堂寺戒君。途端に未熟者モードに入って壮大なフラグを立ててますね。お爺様もこの様子を見たら「未熟者め‼」と一喝しそうです。それをサラリと流す戒君、流石大人の余裕を見せているといったところでしょうか。
今回ネオブラックマフィアの犯行現場を目撃してしまった夏幹時生君、ということは広田真衣ちゃんにもその魔の手が…、ということになるんでしょうね。