安土市内で失踪した大学生の捜索・救出作戦を命じられた獅場俊一と寺瀬詩郎の二人は、地球連邦軍オメガ・ヴェール基地にあるディオドスシステムを使って、セレスティア=スパークル少尉(セリィ)と共に異世界タシェニュヴルアへと渡り、グランベルミア王国の女騎士リュシエル・アストレア=ヴァン=グレイヴを得られることに。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
山賊グロム一家
アサイグの森の奥深く、鬱蒼と茂る木々に囲まれた岩窟の中に、山賊グロム一家の粗野な笑い声が響いていた。
焚き火の赤い炎が、煤けた岩壁とそこに集う荒くれ者たちの顔を照らし出す。

偵察に出ていた一人の手下が、肩で息をしながら親分の前に立った。
「お頭、リュシエルが妙な奴らと一緒に、今朝砦を出発したそうですぜ」
筋骨隆々の巨漢――緑色の体色をしたオーガ族のグロム・アイアンジョーが、椅子代わりにしている丸太から腰を上げる。
その顎はまるで鋼鉄を思わせる厳つさで、実際に鉄をも噛み砕くという伝説すらあった。
「なに? 妙な奴らだと?」
低く響く声に、手下はごくりと唾を飲み込む。
「へ、へえ。この辺りじゃ見慣れねえ顔で、変わった服を着てたとか……」
焚き火の周りにいた別の手下が口を挟む。
「異国人じゃねえのか?」
「バカ言え。港町ならともかく、こんな辺鄙な山奥に異国人が来るかよ!」
偵察の手下が反論するが、場にざわめきが走る。
グロムは腕を組み、獰猛な笑みを浮かべた。
「フフフッ……そいつら、ひょっとすると“異世界人”かもしれねえな」
「い、異世界人!? お頭、それは本当ですかい!?」
「異世界人の血肉は不老不死の妙薬になるって噂……あれはやっぱり……!」
山賊たちの目がぎらぎらと光る。
グロムは立ち上がり、岩窟全体を揺るがすような声で吠えた。
「ああ、間違いねぇ! リュシエルの奴、異世界人なんぞを匿ってやがったとはな! これは俺たちグロム一家が乗り出さねえ手はねえだろ!」
手下たちから歓声と雄叫びが上がる。
「お頭! やっちまいましょうぜ!」
「その異世界人とやらを捕まえて、リュシエルのアマに思い知らせてやりましょう!」
数か月前、砦の騎士団からの討伐を受け、命からがら森に逃げ込んだ屈辱は、彼らの胸中で今も消えていなかった。
規模は縮小しながらも山賊団は森の奥で息を潜め、再起の時を待っていたのだ。
そして今――。
「今こそリュシエルのアマに仕返ししてやる絶好の機会だ!」
グロムの咆哮に、山賊たちは剣や斧を振り上げて呼応する。
アサイグの森に再び、血なまぐさい嵐が吹き荒れようとしていた。
魔力の残滓
アサイグ砦から西へ歩いて八里――。鬱蒼とした森の合間を抜け、岩肌の露出した開けた地点に、リュシエル率いる探索隊が到着した。
そこにはリュシエル、獅場俊一、寺瀬詩郎、セレスティア=スパークルの四人の姿があった。
この場所は、地球で草川律希と桐尾史奈の二人が突如として消息を絶った時刻とほぼ同じ頃、不審な魔力反応が観測された地点でもある。
「隊長、これをご覧ください」
兵士の一人が膝をつき、地面を指し示した。土に刻まれた深い車輪跡、そして蹄の痕がそこに並んでいた。
リュシエルが険しい表情で目を細めると、セリィが息を呑んだ。
「犯人はここで律希さんと史奈さんを馬車に乗せて、どこかへ連れ去ったんですね……」
詩郎が一歩近づき、跡の続きに視線を走らせる。
「それで……その馬車の跡は、どこまで続いているんだ?」
兵士は顔を曇らせ、首を横に振った。
「それが……山道の途中で、跡形もなく消えているのです」
「くそっ、手掛かりなしか!」
俊一が悔しげに拳を握り締めた。
そこへ、魔導士が駆け寄ってくる。顔色は深刻そのものだった。
「それと隊長、魔導反応の残滓を調べてみたところ……とんでもない事実が判明しました」
リュシエルが振り返り、声を低める。
「何だ?」
「微かに残る魔力の因子を解析したのですが……どうやら異世界人の召喚には、“闇の時空魔法”が使用されていた形跡があるのです」
その言葉に、リュシエルの表情が一変した。
「な……闇の時空魔法だと!?」
俊一と詩郎が同時にリュシエルを見る。
「なんなんですか? その闇の時空魔法って……?」俊一が問いかける。
「闇の時空魔法を操れる者といえば……後にも先にも“闇の王国”の者たち以外には考えられん」
リュシエルの声には、鋭い緊張と警戒が込められていた。
「闇の王国……?」
詩郎が低く呟く。得体の知れぬ名に、セリィも唇をかみしめた。
その時だった。
森の奥から、甲高い叫び声が響き渡った。
「て、敵襲だ~~っ!!」
兵士の警告とともに、一行の周囲の空気が一気に張り詰めた――。
山賊の襲撃
森の影がざわめいた。
鬱蒼とした枝葉の間から、粗末な鎧や毛皮を纏った武装集団が次々と姿を現す。手には錆びた剣、棍棒、槍。目には飢えと憎悪の光。
「おい、出て来たぞ!」
兵士の一人が叫ぶと同時に、敵の咆哮が森を震わせた。
リュシエルは剣を抜き放ち、銀髪を振り払って前に出る。
「こやつら……もしやグロムの山賊か!? しばらく大人しくしていたかと思えば、まだ懲りないようだなッ!」
山賊の一人が嘲笑うように答える。
「へっへっ、アサイグの誇り高き女騎士リュシエル様じゃねえか! いい獲物を連れて歩いてやがるな!」
「うるさい!」
リュシエルが剣を閃かせるや、飛び掛かってきた山賊の剣を弾き返し、そのまま一撃で叩き伏せた。
「おい俊一、獲物ってのは、どうやら俺たちのことらしいぜ?」
自分の作戦が当たった、と不敵に笑う詩郎。
「そうみたいだな。詩郎! 俺たちもやるぞ!」
「おう!」
俊一と詩郎は即座に構えを取った。相手は山賊とはいえ人間なので、二人とも変身する気配はない。だがその動きは、既に戦士として鍛え上げられたものだった。
俊一は突き出された槍を紙一重で避け、逆に槍を持つ腕を掴んで豪快に投げ飛ばす。地面に叩きつけられた山賊が呻き声を上げる。
「うりゃあっ!」
続けざまに俊一の拳が別の山賊の顎を打ち抜き、鈍い音と共に倒れ込んだ。
一方、詩郎は冷静そのものだった。
「がら空きだぜ」
飛び掛かってきた敵の刃を身体をひねってかわすと、流れるように足払いを仕掛け、相手を地に這わせる。そのまま剣を振り下ろそうとした山賊の手首を捻り上げ、短剣を奪い取った。
「借りるぞ」
奪った短剣を逆手に構え、次の敵の攻撃を受け止めた。
「怯むな! 数で押せ!」
山賊の頭目格の男が怒鳴る。しかし王国兵士たちも怯まずに盾を構え、槍を突き出し、整然とした陣形で応戦する。
「砦を愚弄する者どもを許すな! 全員、掛かれ!」
リュシエルの号令に応じ、兵士たちの士気がさらに高まる。

金属が打ち鳴らされる音、怒号、悲鳴――森は戦場と化した。
俊一は背後から迫る気配を察し、素早く振り返る。
「おっと、甘いんだよ!」
飛びかかってきた山賊を肩で受け止め、そのまま背負い投げで地面に叩きつける。
詩郎は三人に囲まれたが、一歩も退かない。
「せいぜい俺を倒せるもんなら倒してみろよ」
挑発するように口元を歪め、敵の刃を流れるように弾き、瞬く間に二人を戦闘不能にした。残る一人は恐怖に駆られ、あっさりと逃げ出した。
数の優位に頼っていた山賊たちは、次第に崩れ始めた。
「ば、化け物かこいつらは!」
「ひ、引けぇ! もう無理だ!」
やがて山賊たちは完全に士気を喪失し、蜘蛛の子を散らすように森の奥へと退却していった。
「……ふう。片付いたな」
俊一が額の汗を拭い、息を整える。
「だが妙だな。親分の姿は見えなかった」詩郎が辺りを見渡す。先程いた頭目格の男は、山賊全体の頭ではなく現場指揮官レベルだ。
リュシエルは剣を収め、鋭い眼差しで森の奥を睨んだ。
「グロム本人は、どうやら様子を伺っていただけかもしれん。奴らがまた動き出すのは確実だな」
その時――。
「……あれ? セリィはどこだ?」
俊一の声が緊張を帯びる。
一同が辺りを見渡す。だが、どこにもセリィの姿はない。
「セリィ! どこだ!」俊一が叫び、森の奥へ駆け出す。
詩郎も険しい表情で後を追う。
「まさか……戦闘の混乱に紛れて……!」
リュシエルの顔に焦りが浮かぶ。
「くっ……しまった!」
必死に森の中を探し回るも、セリィの返事はなく、足跡も途中で途絶えていた。
「くそっ……セリィ……!」
俊一が悔しげに拳を握り締める。
詩郎の目も険しく光っていた。
「……やられた。奴ら、俺たちではなくセリィを狙ってたんだ」
森の中に吹き込む風が、不吉に木々をざわめかせていた。
残された仲間たちは、静かに絶望の影を感じ取るのだった――。
囚われのセリィ

「私をどうするつもりですか…?」
グロム一家のアジトに連れ込まれ、荒々しい山賊たちに取り囲まれた状態でこれから尋問を受けようとしているセリィの運命は!?
(つづく)
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