磔の詩郎
何者かによって護衛していた天岸アンジェリカ愛優美と一緒に拉致された後、彼女と引き離されてしまった寺瀬詩郎は、人里離れた森の中で拘束されていた。
「くっ、俺を一体どうするつもりだ!?」
「もうしばらく大人しくして待っていな? お前はこれからクライアントに売られるんだよww」
「売る…? 俺を…?」
どうやら敵の目的は、愛優美だけではなかったようだ。やがて見覚えのある顔が詩郎の目の前に現れた。
「久しぶりだな、寺瀬詩郎君」
「…お、お前はッ!?💦」
やはり案の定というべきか、姿を見せたのは以前から詩郎を付け狙うゲアハルト=ギルベルト大佐であった!
「もしかしてお前が黒幕か?」
「…黒幕? まあシエロ・アスール共和国の軍部と協力して今回のミッションのお膳立てをしたのは確かに我々だ。その意味では、黒幕と呼べないこともないなww」
「愛優美をどうした? 彼女を解放しろ!」
「人の心配よりも、今は自分の心配をした方がいい。これから君は君自身の姉君をおびき出す餌として利用されるのだからな」
「姉さんを…? 俺を餌にして姉さんをおびき出そうというのか!? くそっ…そんなことさせてたまるかッ!!💢」
詩郎は拘束から逃れようと必死にもがくが、超硬合金製の鎖は彼の手首足首や体にしっかりと食い込んでおりビクともしない。
「フハハハハハ、これからまだ見ぬ生き別れの姉に感動の再会をさせてやろうというのだ。悪足搔きはやめたまえww」
ギルベルトの高笑いが周囲一帯に響き渡る。しかしそんな大ピンチの詩郎を救う者が現れた。どこからともなく数枚のトランプが手裏剣の如く飛んで来て、詩郎を交錯していた鎖を引き裂いたのだ!
エターナルライバル登場!
「何者だ!?💦」
驚いたギルベルトたちがトランプの飛んで来た方向へと振り返ると、そこには静寂を破るように、漆黒のマントを翻す一人の紳士が現れた。彼の姿は月光に照らされ、その存在感は圧倒的だった。彼の頭にはシルクハットがあり、その帽子には一輪の赤いバラが飾られていた。目元には黒いマスクが覆われ、彼の正体を隠していた。手には金の装飾が施された杖を握っていた。
悪党たちは驚きと同時に怒りの表情を浮かべた。「名を名乗れ!」一人の悪党が叫んだ。
紳士は微笑みを浮かべ、静かに答えた。「私の名前を知る必要はない。ただ、私は正義の味方であり、悪を許さない者だ。」
悪党たちは嘲笑を浮かべ、一斉に襲いかかってきた。だが、その瞬間、紳士は軽やかに身を翻し、優雅な動きで彼らの攻撃をかわした。彼の動きはまるで舞踊のように美しく、瞬く間に悪党たちを圧倒していった。
最初の悪党が紳士に向かって拳を振り上げたが、紳士は杖を軽く振るってその拳を受け止め、逆にその勢いを利用して悪党を地面に叩きつけた。次に襲いかかってきた二人の悪党も、紳士の華麗な連続技によって次々と倒されていった。杖を駆使した技は、まるで魔法のように見えた。
「くっ、こんなはずでは……! 皆の者引けいッ!!」
ギルベルトは引き際を悟り、残った部下を引き連れて退却した。拘束から解放された詩郎は、謎の黒ずくめの紳士に話しかける。
「助けてくれたんだから、一応礼は言うべきだろうな。ありがとう…。ところで一体アンタは何者なんだ?」
「礼など言われる筋合いは無い。あの程度の輩に不覚を取るとは、不甲斐ない奴」
「何だと!?💢」
「我が名はエターナルライバル! 君にとって永遠の好敵手となる男だ」
「カッコつけやがって…。悪いけどお前に構っている暇はない。俺は愛優美を助けに行く!」
「待て。今から走って車を追いかけるつもりか? それよりもいいものを見せてやる。悪いようにはしないから黙ってついて来い」
「……??」
アルドコブランダー
エターナルライバルと名乗る男によって、とある車庫へと連れて来られた寺瀬詩郎は、そこでコブラをモチーフにデザインされ紫と白のツートンカラーの装甲をしたスーパーマシンを見せられた。
「…こ、これは!?💦」
「ALD-X900アルドコブランダー。君の守護神である紫蛇神アルドーの魂を宿したスーパーバイクで、高性能なリニアモーターエンジンを搭載し、0-100km/hをわずか2秒で達成。400km/h以上のトップスピードを誇る。」
「もしかしてこれを俺にくれるって言うのか?」
「もしかしなくてもだ。今、天岸アンジェリカ愛優美嬢を乗せた敵の車は、この先の国道を南西15キロメートルの方向に向けて走っている。今からこれに乗って行けば、充分追いつけるだろう」
「何だかよく分からないけど恩に着るぜ♪」
詩郎はサーベルタイガーレギウス・パワードモードに変身して、早速アルドコブランダーに乗り込み疾走して車庫から出て行った。その様子を黙って見送ったエターナルライバルは、やがてそっと独り言をつぶやくのであった。
「これでいいのだな? おかめの御前よ…」
愛優美を救え!
「んんーっ!!んんーっ!!」
アジトへと向かう走行中の車内で後部座席に縛られたまま寝転がされている愛優美。運転席と助手席ではシエロ・アスール共和国のクーデター派の工作員二人が余裕の顔で談笑している。
「フハハハハ…さすがはスパイ天国と言われた日本。今回の任務もちょろかったなww」
「噂のブレイバーズとやらも大したことはなかったなww」
だがやがて、猛スピードでこちらに追いかけて来る一台の紫色のバイクの存在に工作員が気づいた。
「…な、なんだあのバイクは?」
「構わん! こちらもスピードを出して引き離せ!」
「んんっ…!?(もしかして詩郎がボクを助けに来てくれたの? お願い!詩郎助けてッ!!)」
「待ってろ愛優美! 必ず助け出してやるからな!!」
果たしてサーベルタイガーレギウス・パワードモードは連れ去られた愛優美を助け出すことが出来るのか!?
つづく。
コメント
相変わらず美しい華村様のイラスト・・・そして、同じような発言で恐縮ですが、この隣に座りたい・・・(* ̄▽ ̄)フフフッ♪
エターナルライバル、何か美少年にも優しいというか、今度は少年のストーカー始めたタキシ〇ド仮面様に見えて・・・(;^_^A
> エターナルライバル、何か美少年にも優しいというか、今度は少年のストーカー始めたタキシ〇ド仮面様に見えて・・・(;^_^A
ちなみにエターナルライバルのモデルとして参考にしたのは、ステイシーくん(ゼンカイジャーの方ではなくて、ドンブラザーズならぬドンブリーズに出て来たトゥルーライバルの方)です。
寺瀬詩郎、ギルベルト卿との感動の再会…なわけないか…
再度むさ苦しい仮面野郎と顔を合わせることとなった我らがサイボーグ戦士詩郎くん、
野郎のくせにやたらと捕まるとかどこのイェーガーさんだよ!
聖佳ちゃんを誘き出す餌として詩郎くんがお持ち帰りされそうになったその時、現れたのは…また仮面野郎…どうしてこの世界は仮面野郎ばかりなんだ…
颯爽と現れたちょっと痛い…紳士的な謎の男によって助け出された詩郎くん、詩郎くんの問いに男はこう名乗った「我が名はエターナルライバル!」
…いや、その…本当にそれでいいのか?そんなかっこいい太郎みたいなので良いのかお前?
まあ本人がそれでいいなら…でもちょっと気になることが、この変態仮…エターナルライバルがアレならば…あの寄生虫の姿じゃないと力を発揮出来なかった筈では…自らを鍛えたのか、それとも人間姿のまま寄生虫の力を使うことが出来るようになったのか、そこがわたし気になります!
そして憎まれ口をたたきながらも気前よくド派手バイクをくれるエターナルライバル、なんとその中には…紫蛇神アルドー…こんな姿になっちゃって…
キノの旅のモトラドみたいに喋ったりしないですかねこれ?
>「これでいいのだな? おかめの御前よ…」
奴はいったいおかめの御前様とどうゆう関係になってんだろ、おどれが宇宙の彼方に吹っ飛ばしたんじゃなかったか?
さて仮面ライダーのごとくモンスターマシンで連れ去られた愛優美ちゃんを追う詩郎くん、主人公してますね~
>「…な、なんだあのバイクは?」
真っ当な感想ですよね~
> どうしてこの世界は仮面野郎ばかりなんだ…
それは書き手に取って「仮面野郎」が便利だからですよ……( ̄ー ̄)ニヤリ
> まあ本人がそれでいいなら…でもちょっと気になることが、この変態仮…エターナルライバルがアレならば…あの寄生虫の姿じゃないと力を発揮出来なかった筈では…自らを鍛えたのか、それとも人間姿のまま寄生虫の力を使うことが出来るようになったのか、そこがわたし気になります!
まあそれについては、いずれ追々に……。