重機装士ヴァルダーこと海防大学工学部1年生の皆上遼馬は、ブレイバーズ長官の牧村光平から若手女優・琴川玲奈の護衛を命じられる。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
指令室にて
亜斗夢重工本社ビル地下――
スーパーヒーロー事業部・指令室。
大型モニターの淡い光が、室内を静かに照らしていた。

「昨日はお手柄だったね、遼馬君」
穏やかな口調で切り出したのは、責任者である綾瀬秀太郎だった。
遼馬は少し照れくさそうに頭をかく。
「いえ……本当に、大したことはしてませんから……」
その横から、ぴしっとした声が飛ぶ。
「よく言うわね」
腕を組んだ西沢志穂乃が、じっと遼馬を見つめていた。
「相手は銃を持っていたのよ。
いくら腕に覚えがあるからって、くれぐれも無茶はしちゃダメ」
「……はい」
遼馬は小さく背筋を伸ばした。
「すみません。次は気をつけます」
「まあまあ、志穂乃君」
秀太郎は軽く手を上げ、場を和ませるように微笑む。
「お小言はそのくらいにしてだね。
それで遼馬君――君が昨日取り押さえた、その男のことなんだが」
遼馬の表情が、自然と引き締まる。
「あの強盗犯が、どうかしたんですか?」
志穂乃が一歩前に出て、静かに告げた。
「昨日、あの立てこもり未遂事件が起きた喫茶店の周辺で――
実は、強盗事件は一件も発生していないの」
「……えっ?」
遼馬は思わず声を上げた。
「でも……あの男の口ぶりだと、銀行を襲ったあとで警察に追われてるって……」
「その話自体が――」
秀太郎は低くつぶやいた。
「カモフラージュだった可能性が高い」
「カモフラージュ……?」
遼馬の脳裏に、昨日の喫茶店の光景がよみがえる。
銃を構え、焦った様子で叫んでいた、あの中年男。
――あれが、演技だったとしたら?
志穂乃は、はっきりと続けた。
「警察が男の自宅を家宅捜索した結果、
琴川玲奈さんのスケジュールや、行動パターンを分析したデータが入ったパソコンが押収されたそうよ」
「……!」
遼馬の胸が、どくりと鳴った。
「じゃあ……アイツは、玲奈さんのストーカーだったんですか!?」
「それがどうもそういう訳でもないらしい」
答えたのは志穂乃ではなく、秀太郎だった。
「男の部屋からは、ストーカーならお決まりの盗撮写真も、盗聴音声も、
市販の写真集や映像ディスク、ファングッズの類も――何ひとつ見つかっていない」
遼馬は、言葉を失った。
「ハードディスクレコーダーにも、
彼女が出演した番組の録画データは残っていなかったそうだ」
秀太郎は、ゆっくりと視線を落とす。
「つまり――あの男は、琴川玲奈さんの“ファン”ではない」
志穂乃が補足する。
「彼女のスケジュールや行動データは、
好意や執着ではなく、必要に迫られて――
極めて事務的な理由で集められていた、ということでしょうね」
指令室に、重い沈黙が落ちた。
遼馬は、かすれた声でつぶやく。
「……じゃあ、いったい何のために……」
答えは、誰の中にも浮かんでいた。
――あの時、喫茶店にいた“琴川玲奈”そのものが、目的だったのではないか。
その時。
軽やかな電子音が、空気を切り裂いた。
志穂乃のスマートフォンの着信音だった。
「……失礼します」
ポケットから端末を取り出し、通話ボタンを押す。
「もしもし、西沢です……はい……はい……」
最初は淡々としていた志穂乃の声が、次第に緊張を帯びていく。
「……何ですって……!?
それは、本当ですか……?」
遼馬と秀太郎の視線が、一斉に志穂乃へ集まった。
「……分かりました。ありがとうございます」
通話が切れた。
一瞬の静寂。
志穂乃は、ゆっくりと顔を上げた。
「……警察からです」
その声は、はっきりと震えていた。
「社長……大変です」
秀太郎の表情が、険しくなる。
「どうしたんだね?」
志穂乃は、言葉を選ぶように一拍置いてから告げた。
「昨日、遼馬くんが取り押さえた立てこもり未遂犯の男が――」
ごくり、と誰かが唾を飲み込む音がした。
「拘置所の中で……
口から泡を吹いて、変死したそうです」
「――……!」
遼馬の顔から、血の気が引いた。
「……何だって……!?」
ついさっきまで、ただの立て籠もり未遂事件だったはずの出来事が、
一瞬で、底の見えない闇へと引きずり込まれていく。
偶然ではない。
そして、単なる犯罪でもない。
指令室の空気は、張り詰めたまま凍りついた。
見えない敵が、すでにすぐ近くまで迫っている――
そんな不気味な予感だけが、静かに胸に広がっていた。
遼馬と早弥香
指令室の空気は、まだ張り詰めたままだった。
「――遼馬君」
秀太郎は、卓上モニターから視線を外し、静かに切り出した。
「確か、明日は琴川玲奈のイメージビデオと写真集の撮影だったね?」
「はい」
遼馬は背筋を伸ばす。
「大咲山キャンプ場公園で撮影する予定です」
秀太郎は短くうなずいた。
「彼女が、そこで再び襲われる可能性が高い」
その一言で、場の温度が一段下がる。
「頼んだぞ、遼馬君。必ず彼女を守ってくれ」
遼馬は、迷いのない声で答えた。
「了解です。任せてください!」
深く一礼し、踵を返して指令室を出る。
――その、ほんの数歩先。
廊下の真ん中に、まるで進路を塞ぐかのように立っている人物がいた。

腕を組み、むっとした表情でこちらを睨みつける少女。
綾瀬早弥香だった。
その背後から、息を切らせるように西沢基樹が追いかけてくる。
「ちょ、ちょっと待てって、綾瀬さん……!💦」
「……」
早弥香は答えない。
ただ、遼馬だけを真っ直ぐに見ていた。
「……早弥香!? それに基樹!? どうしたんだよ、こんなところまで?」
その瞬間、指令室の奥から、鋭い声が飛んだ。
「コラ、基樹!!」
振り返った志穂乃が、思い切り眉を吊り上げている。
「勝手に指令部に出入りするなって、いつも言ってるでしょーが!!」
「姉貴……」
基樹は困ったように頭をかく。
「そうは言うけどさ……綾瀬さんが、どうしても行くって言うから……」
「――明日も、玲奈さんのところに行くの?」
ぴたりと、早弥香が口を開いた。
遼馬の胸が、嫌な音を立てて鳴る。
「当然、私も一緒に行っていいわよね?」
「……ダメだ」
即答だった。
「どんな危険があるか分からないんだぞ」
一歩も譲らない遼馬に、早弥香は一歩踏み出す。
「私は、お父さんから仰せつかった、遼馬のお目付け役よ」
きっぱりと言い放つ。
「忘れたの?」
「……はっきり言うけど」
遼馬の声は、思った以上に硬くなっていた。
「足手まといだ」
空気が、凍りつく。
基樹は思わず息を止めた。
早弥香の瞳が、わずかに揺れる。
だが――すぐに、強く睨み返した。
二人は、互いに一歩も引く気配がなかった。
その時だった。
「まあまあ、早弥香」
秀太郎が、廊下に姿を現した。
穏やかな声だった。
「遼馬君はな、お前を危険に巻き込みたくないんだよ」
早弥香の肩が、わずかに震える。
「……彼の気持ちも、分かってやりなさい」
「……お父さん……」
視線を落とす早弥香に、秀太郎は小さく微笑んだ。
そして、今度は遼馬へと向き直る。
「しかしね、遼馬君」
穏やかだが、芯のある声だった。
「今まで、娘も、そして基樹君も――意外な局面で役に立ったことは、一度や二度ではないはずだ」
遼馬は、ぐっと唇を噛む。
確かに。
これまでヴァルダーとして戦ってきた中で、
早弥香の冷静な判断や、基樹の突拍子もない発想に救われた場面は、何度もあった。
「ここは私の顔に免じて」
秀太郎は、静かに続けた。
「二人の同行を、許してはもらえんかね?」
「……いや……でも……」
言葉に詰まる遼馬。
悩みが、そのまま表情に滲んでいた。
すると。
「なら、決まりね♪」
ぱっと、早弥香の表情が晴れる。
「……お、おい!」
遼馬は慌てて声を上げた。
「俺はまだ、何も言ってないぞ!」
その肩に、ぽん、と軽く手が置かれる。
「諦めろ、遼馬」
基樹が苦笑しながら言った。
「綾瀬さんが一度言い出したら引かない頑固さは、お前が一番よく知ってるだろ?」
「ううぅ……!」
遼馬は頭を抱える。
「……あぁもう! 分かったよ! 勝手にしろ!」
投げやりな声に、
「やったー♪」
早弥香が、小さくガッツポーズを作った。
こうして。
皆上遼馬は、またしても――
綾瀬早弥香と、西沢基樹の強引な連携に、押し切られてしまうのだった。
(つづく)

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