ワームホールに呑み込まれ、異世界タシェニュヴルアのアルスネス島へと漂着した中村弘樹は、そこでシルカイ族に捕らえられる。牢の中で弘樹はシルカイ族の若きリーダー・レイヴンと出会うが…。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
時空歪曲発生地点
中村弘樹と滝沢美香がワームホールに呑み込まれた現場付近。
橘拓斗たちが駆けつけたとき、そこには――
何かが「起こった」痕跡すら存在しなかった。
アスファルトは割れていない。焦げ跡もない。
電磁攪乱の影響も、異常熱源も、何もない。

背景は、Stable Diffusion Onlineで生成しました。
「……ここで弘樹と美香ちゃんが消えたっていうのか?」
拓斗は唇を噛みしめながら、弘樹の姉・友美から聞いた位置情報を何度も確認した。
間違いない。場所はここだ。
滝沢俊彦は腕時計型のスペクトルスキャナーを操作しながら、苦い顔をした。
「案の定、何も手掛かりなしか……反応ゼロだよ。重力波も、エネルギー残留も」
レイラ=ジェーン=ウィルソンは長い髪を耳にかけ、落ち着いた声でつぶやいた。
「もしかして……異世界にでも連れていかれたのかしら?」
拓斗が顔を上げた。
「異世界……そんなのSFの中だけだろ?」
「でも、この消え方は“普通じゃない”わ。足跡も痕跡も一切なし。転移か、瞬間移動か……何かしら時空的な現象じゃないと説明できない」
レイラの言葉は冷静だが、その瞳には不安の色が浮かんでいた。
そもそも、あのワームホールらしき渦は自然発生だったのか?
それとも――誰かが意図的に発生させたものなのか?
推測すらできない。
俊彦が決断するようにレイラへ向き直った。
「とりあえずレイラ、周辺の微粒子を採取しておいてくれ。量子残渣が残っていれば、少しでも解析できるかもしれない」
「オッケー♪」
レイラは携帯型のミクロフィルターを取り出し、しゃがみ込んで静かに作業を始める。
拓斗は拳を握り締め、悔しさを押し殺しきれずにいた。
「くっ……俺たちには、本当に何もできないのか……!」
「拓斗、焦る気持ちは分かるよ。僕だって同じだ」
俊彦は友を落ち着かせるように言った。
「でも今は――情報が少なすぎる。工房に戻って、レイラが採取したデータを解析しよう。あくまで僕たちは“技術者”なんだ。できることからやるしかない」
「……ああ、分かったよ」
拓斗は深く息を吐き、少しだけ力を抜いた。
ほどなくしてレイラが立ち上がり、小さなサンプルケースを掲げた。
「採取完了。何か分かるといいんだけど……」
「ありがとう、レイラ。行こう」
3人は風の吹く市街地を後にした。
頼りない手がかりを胸に、彼らの活動拠点――エバーグレン高校、校舎裏の工房へと歩みを戻していく。
弘樹と美香の行方は依然として不明。
だが、この3人があきらめるつもりは、さらさらない。
意外な展開
◆アルスネス島・シルカイ族の屯所 牢屋にて
湿った石壁と、潮風に運ばれる海藻の匂いが入り混じる牢屋。
格子を挟んで互いを睨みつけていた中村弘樹と、トルコ石色の髪を後ろで束ねた青年――レイヴンの間に、張り詰めた沈黙が流れていた。

沈黙を破ったのは、レイヴンだった。
「セリーナ、例のアレを持ってきてくれ」
牢屋の外側で控えていた少女が、首をかしげながら扉を開ける。
レイヴンの妹らしいその少女――セリーナは、疑問を隠さず尋ねた。
「分かったわ兄さん。でも何に使うの?」
「いいから。早く」
やがて彼女が戻ってきた。
その手に抱えられていたのは――剣と魔法の世界には場違いなほど、滑らかで未来的な光沢を放つメカニカルなブレスレットが二つ。
弘樹は思わず目を丸くした。
(な、何だこれ……SF映画に出てくるやつじゃん!)
レイヴンは無言で片方を自分の右手首にはめ、残るひとつを弘樹の右手首にカチリと固定した。
「な、何する気だよ……!」
「◇◆※=!(じっとしてろ!)」
レイヴンがブレスレットの側面にあるスイッチを押す。
端末が淡く発光し、耳元に微かな電子音が響いた。
そして――
「おい、お前。俺の言葉が分かるか?」
その瞬間、弘樹の脳は「聞き慣れない言語」を“日本語”として理解していた。
「えっ!? に、日本語!? なんで……!?」
驚きに声が裏返る。
どう考えても、この世界の人間が日本語を話すはずがない。
レイヴンは腕を組みながら、鋭く質問を投げた。
「お前はこの世界の人間じゃないよな?
名前は? どこから来たんだ?」
「ぼ、僕は中村弘樹……ヒロキっていうんだ。
パシフィックゲートウェイ島のブライトバレー市って所から……突然、時空の渦みたいなのに呑み込まれて……気付いたら浜辺に倒れてて……それで君たちに捕まったんです!」
早口で必死に説明する弘樹。
レイヴンは眉をひそめる。
「パシ……フィックゲート……何たら?
そんな名前の島、聞いたこともないぜ」
タシェニュヴルアの七つの海を知り尽くしたシルカイ族にとって、知らない島など存在しないはず。
しかし弘樹の様子は嘘をついている人間のそれではなかった。
「本当なんです! 信じてください!」
「まあ落ち着け。誰も嘘だなんて言っちゃいないさ。
やっばり異世界から来た人間か…。
それにどうやらお前、悪い奴じゃなさそうだな」
レイヴンはそう言って、弘樹の両手を拘束していた手錠を外し、縄も解いた。
「……あ、ありがとう」
「アイツらも念のためにやっただけだ。悪気はねぇ。
最初に手荒な真似をしたのは悪かった。どうか勘弁してやってくれ」
珍しくぶっきらぼうでない声音だった。
弘樹は気になっていたことを口にした。
「今、僕のことを“異世界から来た”って言いましたよね?
もしかして……ここは地球じゃないんですか?」
「チキュウ? ああそういえば……コスモスの民から、そんな名前の星があるって聞いたことがあるな」
「えっ!? コスモスの民って……!」
弘樹の声が跳ね上がる。
レイヴンも驚いて身を乗り出した。
「なんだ? お前、コスモスの民を知ってるのか!?」
「知ってるどころか、僕は直接会ったことはないんだけど…僕の友達がそのコスモスの民から
“アストラルロイド”って巨大ロボットをもらってて!
もしかして……この翻訳機みたいなブレスレットも、コスモスの民からもらったんですか!?」
牢屋の空気が一変した。
互いに予想もしていなかった言葉が重なり、二人の距離が一気に縮まる。
異世界の青年レイヴンが、地球の言語を翻訳できる機械を持っている理由。
そして、コスモスの民を知っている理由。
弘樹の予感は――とんでもない真実へとつながっていく。
だが、その答えが語られるより前に。
「……続きは、明日にしておいた方がよさそうだな。
この話は、長くなるぜ」
レイヴンはそう言って、夜空を見上げた。
こうして、物語は急展開を迎える。
(つづく)

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