BRAVERS EDITION　episode.101

太平洋上にある無人島「天舟島あまふねじま」にある、安城重工の装備実用化試験センターに3～4日間の予定で出張したブレイバーズ女性隊員の稲垣千秋だったが…。

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

翼に偽りの風

稲垣千秋の掛け声と共に、白とマゼンタ色のアーマーが発光し、彼女の身体を包む。

「ブレイブシフト！」

蒼天を切り裂くように、スワローレギウス・パワードモードの機体が舞い上がる。ブレイバーズ本部で設計され、安城重工が製造を請け負った彼女専用の飛行型強化スーツの最新の拡張ユニットを装備して、安城重工・天舟島試験センターにおける飛行テストが始まっていた。

センターの広大なテストエリア。監視用ドローンとモニター設備が並ぶ司令室で、谷茂岡常務と開発主任の棚池、その他技術スタッフたちが神妙な面持ちで映像を見つめていた。

「上昇、良好……」
「加速性能、設計値より低いが許容範囲内……いや、少し揺れてませんか？」
「――えっ、機体が……！」

突如、千秋の姿勢制御が乱れた。飛行ルートがねじれ、スーツの左翼ユニットが異音を発する。直後、スワローレギウスは空中でバランスを崩し、推力を失って墜落した。

ドゴォンッ！！

土煙を上げて不時着。爆発こそなかったが、着地は無様だった。

――数十分後。

変身を解除し、擦り傷まみれの姿で司令室へ戻ってきた千秋は、顔を赤くして怒りをあらわにしていた。

「何なんですかあの装備！飛行ユニット、完全にバランス崩れてたじゃないですか！下手したら命を落としてましたよ！💢」

机を叩きそうな勢いで詰め寄る千秋に、谷茂岡は涼しい顔のまま、眉一つ動かさずに口を開いた。

「いやあ、これはこれは……予想外の誤作動でしたな。だが稲垣さん、これもテストですから。トライ＆エラーは想定内ですよ。ねえ、棚池くん？」

「あ、は、はい。ちょっとした不具合でして……まあ、次回までには必ず修正を――💦」

「”ちょっとした”！？ あのまま海に落ちてたら、あなたたちどう責任取るつもりだったんですか！」

谷茂岡は、わざとらしく肩をすくめてから、指を鳴らした。

「まあまあ、そうお怒りにならず。稲垣さん、ここはひとまず――コーヒーでもいかがですか？」

棚池がテーブルにあらかじめ用意されていたマグカップを差し出してきた。千秋は睨むように一瞬見つめたが、やがて受け取り、警戒しつつも一口だけ啜る。

「……まずくはないですね。でも、コーヒー一杯で済まされるような問題じゃないですから」

机にマグカップを置いた彼女は、鋭い眼差しのまま言葉を放った。

「ともかく、この件についてはこちらでも調査を進めさせてもらいます。ブレイバーズの監察室に正式に報告を上げますから」

「……それは、どうぞご随意に」

谷茂岡はにこやかに笑っていたが、その目は何かを測るように細められていた。

千秋はそれ以上何も言わず、背を向けて部屋を後にした。

重い扉が閉まる音。

その残響の中、棚池が谷茂岡に小声で囁いた。

「どうします？あの調子じゃ……」

「ふふ……まあ、慌てることはない。いずれ”彼女自身”が気づくことになるのだからな」

老獪な笑みが、静かに司令室に沈殿していた。そして、まだ誰も気づかぬ闇が、天舟島の地下で密かに動き出していた。

闇を暴く瞳に眠りの罠

薄暗い資料室の中に、かすかに風の音が響いていた。だが、その静けさの中で、ひとりの少女が激しく動いていた。

稲垣千秋。ブレイバーズの飛行戦士スワローレギウス。

彼女は照明を落としたセンター内の一角にある、旧式の紙媒体ファイルが山積みにされた資料室にいた。壁一面の書棚、分類の曖昧なファイル群。デジタル化が進むこの時代に、あえて「紙」の資料が多く残されたその部屋は、何かを隠すための温床のようにも思えた。

「――この開発日報、部品の型番が正式なものと違う。しかも……」

千秋は眉をひそめながら、資料の一つ一つを丹念に読み込んでいく。いくつかのファイルを突き合わせてみると、不審な点が次々と浮かび上がった。

パーツの出荷数と実際の使用数の不一致。調達コストの水増し。品質検査報告の虚偽記載。どの帳簿も、”細工された後”がありありと見て取れた。

「これ……わざと粗悪な装備を開発して納品？　ブレイバーズにも？　しかも政府の補助金を…中抜き……？」

口の中でつぶやいた千秋の声が震えていた。怒りではない。これは、まぎれもなく――告発にも等しい、企業犯罪の証拠をつかんだ戦慄だった。

背筋に冷たいものが走る。

だが、この不正が組織ぐるみなのか、それとも谷茂岡常務個人の仕業なのか、それだけはまだ断言できなかった。

「どこかに、社内調査の記録か、内部告発……何かあるはず……！」

そう確信した千秋は、さらに奥のキャビネットに手を伸ばし、新たなファイルを引き抜く。だが――

そのときだった。

ふ、と。瞼が重くなる。

「……ん……？」

手にしたファイルを机に置き、千秋は何かの違和感を覚えた。突然、頭がぼんやりとしてくる。思考が霞んでいく。

（まさか……さっきの……コーヒー……！？）

「くっ……！」

立ち上がろうとした足がふらつき、よろける。手が机の端をつかむが、力が入らない。視界の端が滲み、照明の光がぼやけていく。

千秋は崩れるように膝をつき、そのまま、重力に引かれるように床へと倒れ込んだ。

「……まだ……調べなきゃ……なのに……」

その呟きはもはや誰の耳にも届かず、彼女の意識は深い闇の底へと沈んでいった。

静かな資料室の中、めくられたままのファイルが、微かに揺れていた。まるで、眠りに落ちた彼女の代わりに、真実の続きを訴えようとするかのように。

（つづく）

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