BRAVERS EDITION episode.14

BRAVE SUCCESSION
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※この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
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※chatGPTで文章を作成しています。

群衆パニック

クリストフォロ=エヴァルド=コルティノーヴィス3世ことクリスは執務室の窓から、群衆が騒ぎ立てる階下の様子を心配そうに眺めていた。振動と爆発音が発生してからしばらく経つが、外に出ようとする民間人たちがフロアに閉じ込められている以上、パニックの兆候は増すばかりだった。

「佳代さん一人にだけ厄介事を押し付けるわけにはいかないな……」クリスは小さく呟き、立ち上がった。
「僕も責任者として出て行かないと、何か起こる前に群衆を落ち着かせないといけません」

その瞬間、部屋の隅に控えていた獅場俊一が立ち上がり、クリスの前に立ちはだかった。
「やめとけ、クリス。トップはそう簡単に動くべきじゃない」俊一の低く冷静な声が室内に響く。

「でも、俊一さん……」クリスは眉をひそめながら、彼の言葉に反論しようとする。「臨時とはいえ、今は僕が責任者なんです。群衆が不安がってる時に、僕が姿を見せないと――」

「だからこそ、だろ?」俊一は一歩近づき、クリスの肩に軽く手を置いた。「トップは現場に出て、あれこれ直接やるもんじゃない。お前が焦って出ていったら、かえって混乱することもある。ここは佳代さんを信じて、任せとけ」

クリスは息を詰めたまま、俊一の言葉を噛みしめるように黙り込む。佳代は確かに頼れる存在だ。それに、これまでも何度か彼女の機転に助けられてきたことを思い出した。自分が動くべきだと思ったのは、焦りからだったのかもしれない。俊一の言葉には、いつもどこか揺るぎない自信がある。それが今の自分を冷静にさせてくれる。

「……わかりました。俊一さんの言う通り、ここは佳代さんに任せます」クリスは深く息をついて、もう一度自分の席に戻った。

「それにしても、こんな時に詩郎のやつはどこをほっつき歩いてるんだ…」俊一は、トラブルが起こる少し前あたりから戻って来ない寺瀬詩郎の身を案じていた。

**

振動がビル全体を揺るがしたのは、ほんの一瞬の出来事だった。重低音のような爆発音が続き、管制室のコントロールが奪われたことで、ブレイバーズ東京オフィスが入居する13階から16階のフロアが完全に封鎖された。出入り口のシャッターが全て閉じられ、エレベーターも機能を停止。数百人の人間がこのフロアに閉じ込められた状態になった。

「どうして外に出られないんだ!」
「責任者を出せ!」

群衆の怒号が次第に大きくなり、パニックが広がり始める。民間人たちは状況を把握できず、恐怖と混乱で苛立ちを募らせていた。錦織佳代は、他の職員たちと共に群衆の前に出て、懸命に説明を試みた。

「どうか、皆さん落ち着いてください。今、原因を究明中ですから、少しだけ時間をいただけませんか?」

彼女は声を張り上げ、必死に群衆を宥めようとしたが、既に多くの人々は限界に近い。押し問答が始まり、さらに大声で責任を追及する声が上がった。

「落ち着けって言われても、出られないのにどうしろってんだ!」
「子どももいるんだぞ!」

その瞬間、少し離れた場所から一人の青年が前に出た。小寺洸介、鷺島国際大学の報道部に所属する大学生だ。彼は騒ぎ立てる人々を見渡し、深呼吸してから静かに口を開いた。

「皆さん、ちょっと冷静になりましょう! 今ここでパニックになっても、何も解決しません。ブレイバーズの皆さんがすぐに対処してくれるはずです。だから、落ち着いて待ちましょう!」

洸介の落ち着いた声に、一瞬、群衆が静まり返った。彼の言葉に力があったのだ。

「そうです、焦っても仕方ありません!」隣で、桜庭陽平も続けて呼びかけた。「この状況をみんなで乗り越えるために、まずは落ち着きましょう。安全が第一です!」

「わたしたちもブレイバーズを信じて、今は冷静に行動すべきです」鳳凰院優も優しく声を添える。「外で対応してくれている人たちがいるんだから、信じて待つのが大事です」

「そう、何とかなるって! ここで焦ったって状況は変わらないし、あたしたちも協力するから!」陽キャな性格で元気いっぱいの漆崎亜沙美も、強い口調で群衆に訴えかけた。

次第に人々は彼らの言葉に耳を傾け、興奮していた群衆も少しずつ沈静化していった。洸介たちの協力のおかげで、パニック寸前だった人々がなんとか落ち着きを取り戻したのだ。

**

「本当に助かったわ。ありがとう、あんたたち」佳代は洸介たちに頭を下げた。初対面であるにもかかわらず、大学生たちがこの状況を落ち着かせるのに大きな役割を果たしたのは確かだった。「あたし、ブレイバーズ本部の隊員で錦織佳代っていうの。君たちは?」

「俺、小寺洸介。鷺島国際大学の報道部の者です」洸介が軽く頭を下げると、次に陽平が続く。

「僕、桜庭陽平です。同じく報道部で、小寺と一緒に取材に来ました」

「わたしは鳳凰院優。報道部のメンバーです」優も丁寧に挨拶する。

「そして、あたしは漆崎亜沙美ですっ♪」

「取材か……まあ、どんな事情があったにせよ、あんたたちが協力してくれなかったら今頃どうなってたか…」と、佳代は少し苦笑いを浮かべながら言った。「協力してくれたお礼もあるし、ちょっと案内するから、ついて来て。責任者に会わせてあげる」

「責任者って、誰なんですか?」洸介が首を傾げた。

「ま、行けばわかるわ。さ、こっちよ」

佳代は手早く身支度を整え、洸介たちを案内するために廊下を歩き出した。クリスがいる執務室へと向かう道中、彼女の背中には確固たる決意と冷静さが漂っていた。

「行きましょう、みんな」優が一言かけ、仲間たちもその後を追って歩き始めた。

報道部とクリスの出会い

錦織佳代は鷺島国際大学報道部の4人を連れて、執務室のドアをノックした。中からクリスの穏やかな声が「どうぞ」と答え、佳代がゆっくりとドアを開けた。

「お邪魔します」と佳代が一礼し、続いて洸介たち4人も軽く頭を下げた。執務室は広々としており、シンプルながら洗練されたデザインが目を引く。部屋の中央にはデスクがあり、そこに座っているクリスがにこやかな笑顔で彼らを迎えた。

「民間人の方は落ち着いたよ、クリス」と佳代が状況を報告をすると、クリスは「ご苦労様です」と優しく頷いた。

「君たちが群衆の説得に協力してくれたと聞きました。本当にありがとう。おかげで状況が落ち着きました」とクリスは言い、穏やかな笑顔を浮かべた。

その笑顔を見た瞬間、洸介たち4人は思わず足を止め、呆気に取られた表情を見せた。目の前にいるのは、テレビや雑誌で幾度も見た、世界的に有名な美少年モデル――「100万ドルの微笑み」と称されるクリストフォロ=エヴァルド=コルティノーヴィス3世その人だったのだから。

洸介は唖然としたまま口を開く。「……え、えっ? お、俺たちが会いに来たのって、もしかして――」

「クリスって、あのクリス様……なの?」優が驚きに満ちた声で言い、亜沙美が「キャー! ほんとだー! めっちゃ有名なモデルじゃん!」と声を上げた。

陽平も「すごい……取材どころか、こんな有名人に直接会えるなんて……」と感嘆の声を漏らす。

クリスは笑みを浮かべながらも、少し困ったように首を傾げた。「あはは、そうなんです。確かに僕はモデルとしても活動していますけど、ここではブレイバーズの東京オフィス臨時責任者としても働いています」

佳代が口を開き、「実は今調べさせたんだけど、君たちの取材予約の件でちょっとした手違いがあったみたいで、警備の方に連絡がうまく伝わっていなかったの。申し訳ないわね」と頭を下げる。

「いやいや、そんな! 大したことないっすよ!」洸介が慌てて手を振り、「それよりも、こんな大物に会えたことの方がラッキーっていうか……。あ、すいません! ちょっとテンション上がっちゃって」

「僕も、本当に申し訳ありませんでした」とクリスが頭を下げた。「取材の面会予約がこちらのミスでうまくいかなかった。ここに来てもらっていたのに、すぐに対応できなくてごめんなさい」

陽平は恐縮しつつも、「いやいや、クリスさんが謝るなんてそんな……。それより、今、少しだけでもお話を伺えたらと思うんですけど、どうでしょうか?」

洸介たちの目は期待に満ち、まさにスクープを掴む瞬間を感じているかのようだった。優も「世界的に有名なモデルが、こんなところで正義の防衛組織の責任者をやってるなんて、普通じゃ絶対聞けない話ですもんね!」と興奮気味に言う。

「ええ! 独占インタビューなんて最高!」と亜沙美も調子に乗り始めたが、その時、佳代が「コホンッ」と咳払いした。クリスが困ったように佳代を一瞥し、次に洸介たちに向き直った。

「実は……」クリスは少し躊躇しながら口を開いた。「僕がここで働いていることや、ブレイバーズの関係者であることは、今はまだ公にはしたくないんです。いろいろと事情があってね」

洸介たちは一瞬、驚きと戸惑いを見せたが、何かを察したように陽平がすぐに口を開いた。「なるほど、そういう事情があるんですね。僕たちも取材対象の事情や人権を無視するような取材はしないのがポリシーです。だから安心してください、クリスさんのことについては、表には一切出しません」

洸介も頷いて、「ああ、もちろんです。無理に聞き出そうなんてことはしませんし、クリスさんの立場や事情にはちゃんと配慮しますから」

「本当に?」クリスは意外そうに目を見開いた。「そんなにあっさりと受け入れてくれるなんて、ちょっと驚いたよ」

「まあ、俺たちもマスゴミとかパパラッチとは違いますから」と洸介が笑顔で答えた。「読者や情報源からは信頼される取材をしたいんです。だから、安心してください」

亜沙美も「取材は面白いけど、無理に相手を困らせることはしたくないもんね」と笑いながら言い、優も「そう、わたしたちはあくまで相手を尊重しながらやるのが一番だと思ってます」と付け加えた。

クリスは彼らの誠実な姿勢に少し安堵の表情を浮かべ、「君たちは、本当に信頼できる人たちなんだね」と静かに微笑んだ。

「そう言ってもらえて嬉しいです」と陽平が少し照れながら答えた。

「それじゃ、取材はまた別の機会に改めて……ね」と佳代が優しく締めくくると、洸介たち4人は笑顔で頷いた。

いざ、地下へ!

佳代たちは執務室の窓から外の様子を見つめていた。事態は一向に好転せず、相変わらずビルの13階から上のフロアは完全に閉じ込められた状態だ。シャッターは下り、エレベーターは止まり、外との通信も途絶えている。焦燥感が漂う中、佳代は静かに息を整えた。

「どうやら、問題は地下の管制室にあるようね……」

佳代は状況を冷静に分析し、解決の糸口を見つけるために、地下に降りなければならないと決断した。しかし、問題はそこに至る方法だ。エレベーターは完全に封鎖されており、通常の手段では13階から下には降りられない。

「どうするんだ?」と洸介が戸惑いの表情を浮かべる。「このままじゃ、俺たち全員ここに閉じ込められたままじゃないか?」

クリスは何も言わず、黙って俊一の方に視線を向けた。そこには、静かに思案していた俊一がいた。彼の鋭い眼差しが一瞬佳代と交差し、何かを決断したように頷いた。

「俺に任せろ」と俊一は低く言うと、部屋の隅に移動し、素早く手を掲げた。次の瞬間、彼の体は眩い光に包まれ、獅子のような猛々しい姿へと変貌していった。俊一は、BRAVERSの一員としての姿――ライオンレギウスへと変身した。

「すごい……!」洸介はその光景に圧倒され、思わず声を上げた。報道部の他のメンバーも目を見開いて驚きを隠せない。

「これがBRAVERSの……」陽平が呟く。

俊一、いやライオンレギウスは、力強い一歩を踏み出すと、まっすぐにエレベーターの扉へと向かった。そして、彼は無造作に手をかけると、鉄製の重厚な扉を力ずくでこじ開けた。

「佳代さん、一緒に地下に行こう!」

しかし、佳代は首を横に振った。「俊一、ここはあたしに任せて。あたし一人で地下に降りるわ。あなたはクリスたちを守って」

「おいおい、一人で行く気ですか? 危険ですよ!」と俊一が心配そうに言う。

だが、佳代はにっこりと微笑んで言った。「大丈夫よ、あたしはくノ一、忍びの術はお手のものだし、こんな状況でも負けないわ。それに、地下は私の方が適任。あなたは上のフロアの警戒を頼むわ」

俊一はしばし黙っていたが、結局諦めるようにため息をついた。「分かりました、だが無理はしないでください。何かあったらすぐに知らせてくださいよ!」

「俊一、ありがとう」佳代は軽く頷いてから、エレベーターのダクトへと身を投げ入れた。スルスルと滑るように下へ降りていく佳代の姿が、あっという間に暗闇の中に消えていく。

洸介たち4人は、あまりにスピーディーに進んでいく展開に圧倒されつつも、次に起こるであろう展開に目が離せなかった。

「こりゃ、大ニュースどころの騒ぎじゃないな……」と洸介が小声で呟いた。

そして、佳代は無事に地下の管制室に辿り着くことができるのか――次回へと続く。


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