人気イラストレーターの小西李苑は、久峨コンツェルン東京総支社長を務める年齢不詳のアメリカ人・ロバート=サザーランドの元を訪れていた。ロバートの正体は、魔人銃士団ゼルバベルの関東方面軍総司令官・ティラノレギウスであり、腹の底では首領の久峨景章ことスコーピオンレギウスに取って代わることを企んでいる。
「そうか。やっぱり沢渡優香の彼氏くんが噂のシグフェルの正体だったか…」
「君の風変わりな趣味は聞いてはいたが、まさかよりにもよって牧村光平の女に目を付けるとはな」
「おや、何かご不満かい?」
「お察しの通り、天凰輝シグフェルにとって最大の弱点(ウィークポイント)があの少女だ。そういう切り札は出来れば最後のいざという局面まで取っておきたかったのだが…」
「でも僕はそれを聞いて、俄然優香ちゃんの捕縛にファイトが湧いて来たね。やっぱり美しき囚われのヒロインには、それを助けに来る白馬の王子様がいる方が僕のモデルとしての価値が爆上がりするのさ」
「君はつくづく変わり者だな。まあ好きにすればいいさ。その代わり、分かっているな?」
「分かっているとも。ロバート君がシグフェルの正体を本部にわざと内緒にしていたことは黙っておいてあげるよ。その代わり君の縄張りでもある東京でも僕は好き勝手にやらせてもらうからね」
ロバートと話を付けた小西は早速配下のクロウレギウスに命じて、嬉々として沢渡優香誘拐作戦の計画を練り始めるのだった。
光平と佳代が優香を付け狙う謎の見えない敵の正体を調査している最中、優香は光平からの言いつけでGスマの部室に身を潜めていた。優香がストーカーに狙われているらしいと聞かされた寺林柊成、葉桐涼介、日野愛都紗らGスマメンバーも快く優香のガードに関して協力を快諾。とりあえず柊成たち3人と一緒にいれば優香も安全だろうという判断だ。
ところが、クロウレギウスは優香の従弟・柏村晴真を小学校からの下校途中に誘拐! 優香のスマホに密かに連絡を入れ、晴真の身の安全と引き換えに柊成たちの目を盗んで一人で抜け出して来るように脅迫して来たのだ!
「すまん!牧村! 俺たちが目を離した隙に沢渡さんがいなくなった!」
「何だって!?」
「沢渡さんからの置手紙よ!」
愛都紗から手紙を渡された光平は、ザっと目を通す。
「優香は晴真を人質に取られて仕方なく一人で抜け出したのか…。なんて卑劣な真似を!絶対に許さないッッ!!」
怒りに燃える光平。実はこんな時のために、あらかじめ優香には発信器を持たせていた。そこから出る電波を頼りに、光平は愛車マシンガルーダを駆り優香と晴真が囚われていると思しき場所へと向かうのだった。
「ぅんん…むぅうぅ」
「んんんぅっ」
クロウレギウスが用意したアジトで、縛られて監禁されている優香と晴真。晴真は優香を守ろうとするように精一杯クロウレギウスを睨みつける。
「んぐむうぅうぅっ!!(優香姉ちゃんに指一本でも触れてみろ! 僕が承知しないぞ!!)」
「大人しくしていろこのガキ! もうすぐ俺のボスがやって来るからな。それまではお前たちの大事な体に傷はつけたくないんだよ」
果たして優香と晴真の運命は!?
光平の助けは間に合うのであろうか!?
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