人間牧場の恐怖！　第4話

ネオ・ヴゥンタジス・コーポレーション主催のネプチューン・イニシアチブ見学ツアーに参加した橘拓斗らエバーグレン高校の生徒たち。しかしそこにはネオブラックマフィアの罠が潜んでいた。食事に一服盛られていた睡眠薬で眠ってしまった拓斗たち、そして一人だけ難を逃れた中村弘樹の運命は！？

モーリス博士の正体

「ううっ…頭が痛いぜ…。ここは一体何処なんだ…？」

目を覚ました拓斗が意識が朦朧としながら周囲を見渡してみると、そこは鉄格子で閉ざされた牢屋の中だった。しかも自分はロープで後ろ手に縛られている。

「一体どうなってるんだ！？💦」

ロープを解こうともがく拓斗。しかし身体にしっかりと巻きつけられたロープはビクともしない。そんな焦る様子の彼に、何者かが鉄格子の外側から声をかけて来た。

「お目覚めかね？ 橘拓斗君」
「アンタは…モーリス博士！」

「一体これは何の真似だ！？ 他のみんなはどこにやったんだ！？」
「教えてやろう橘拓斗君。ここは魚介類を養殖するための海洋牧場とは真っ赤な偽り。本当は我らがボス・デスクローン総統のお眼鏡にかなった美少年美少女を家畜として飼育するための人間牧場なのだよ！」
「…な、何だって！？」
「そしてモーリスとは仮の名。ネオブラックマフィア主任特務工作員№K-0016ケーダブルオーシックスティーン。それが私の正体さww」
「俺たちを騙してここに連れて来たのか！？」
「喜びたまえ。君はネオブラックマフィアのコンピューターが選抜した優秀な美少年に選ばれたのだ。君は今日からネオブラックマフィアの幹部候補生として、ここで必要な教育と訓練プログラムを受けながら日々を過ごすのだ」
「ふざけんな！ 誰がお前らなんかの仲間になるもんか！ ここから出せー！！」

決してネオブラックマフィアには屈しまいと、鉄格子越しに抗議の声をあげる拓斗。しかしモーリス博士ことK-0016はそんな彼を嘲笑う。

「これを見ても、まだそんな元気を保てるかな？」

「ううっ…た、拓斗…」
「俊彦ッ！？」

なんと滝沢俊彦が研究室の実験器具に繋がれて拘束されていた！　それを見て愕然とする拓斗。

「お前ら！ 俊彦をどうするつもりだ！？」
「大事なお友達を人体実験のモルモットにされたくなかったら、下手な考えを起こすのはやめておくんだな」
「くそっ…!!」

俊彦を人質に取られてはどうしようもない。それにレイラやサラ、シャンリンたち他のメンバーの安否も不明だ。拓斗はとりあえずは面従腹背しつつ、屈辱に耐えながら反撃のチャンスを慎重に待つことにするのだった。

その頃、サラとシャンリンは…。

一方その頃、サラとシャンリンの二人は海底牧場内のとある一室に監禁されていた。

「んむむぅ～っ!! んむぅぅーっ!!」
「んんーっ！ んむむぅっ!!」

縛られた口をガムテープで塞がれた状態で、必死に呻き声を上げているサラとシャンリン。しかしレイラや滝沢美香の姿は、同じ部屋の中には見当たらない。彼女たちはどこへ連れて行かれたのであろうか！？

さらにもう一方で、食事を摂らなかったことでただ一人だけ難を逃れていた中村弘樹は、姉の友美をどこかに隠した後、消えた仲間たちの姿を求めて海底牧場内を探し回っていた。

「ダイニングルームに戻ってみれば、食べかけの料理だけが残されていた。あとはみんな姿を消していたなんて！ きっと拓斗くんたちの身に何かあったんだ！ ちくしょう…みんな一体どこにいるんだよッ！！💦」

拓斗たちが捕らえられてしまった今、頼みの綱は弘樹ただ一人だけである。果たして弘樹は皆を助け出して、この窮地を乗り越えることができるのであろうか！？

つづく。