聖騎士団現る！　第5話

オリハルコンの加工技術を狙う暗黒大博士に、ホーリーオーダーの与那城咲琉が誘拐された！

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

脅迫

　重苦しい沈黙が、作戦会議室を覆っていた。
　シブルリックオーダー司令部の長机の中央には、一通の映像メッセージが再生されたまま止まっている。画面の中では、薄暗い部屋に拘束された少女――与那城咲琉が、鎖に縛られたまま椅子に座らされ、恐怖と悔しさを宿した瞳でこちらを見据えていた。

　無機質な声が再び脳裏によみがえる。
　『与那城咲琉と引き換えに、オリハルコン加工技術の全データを明日までに渡せ。さもなくば……』

　静寂を破ったのは、リュキシアスの低く冷たい声だった。
　「データは渡すわけにはいかない。テロリズムには屈しない。これは国際常識だ」

　その言葉に、報せを聞いて海外任務から急いで日本に戻り駆けつけたばかりの三刀谷迅毅が腕を組む。
　「えみるーもホーリーオーダーの一員だ。いざという時の覚悟は出来ているはずだ」

　途端に、紫城心翔が机を叩き立ち上がった。
　「そんな…咲琉ちゃんを見捨てるのかよ！」

　だが、グレアム＝グレゴリー＝リチャードソンが冷静な眼差しを向ける。
　「頭を冷やせ、紫城心翔。データを渡さないとは言ったが、誰も咲琉を見捨てるとも言ってない」

　その場にいた全員の視線が、自然と一人の女性へと向いた。フィリスが口を開く。
　「ここはみんなで咲琉ちゃんを助ける方法を考えましょう！」

　しかし、美濃本敦が腕時計をちらりと見て顔をしかめた。
　「だけど時間がないぜ。どうするんだ？」

　その時、瀬尾梨帆がゆっくりと椅子から立ち上がった。
　迷いのない瞳で、皆を見渡す。
　「私に考えがあるわ」

　その声には、何か決意を秘めた鋼の響きがあった――。

人質交換

　翌朝――。
　瀬尾梨帆は一人、指定された廃工場跡へと足を踏み入れていた。
　武器も持たず、背中にはただ覚悟だけを背負って。

　吹き抜けの広い空間には、油と鉄の匂いが重く漂っている。
　その中央、巨大な鋼鉄の影――暗黒大博士配下の作戦行動隊長ギガントロイドが、待ち構えていた。

　そして、その横には――。
　椅子に鎖で厳重に縛られ、口にはガムテープを貼られた咲琉の姿。
　少女の瞳が梨帆を見つけた瞬間、強く揺れた。

　「んんーっ!!　んんーっ!!」
　必死に呻く声。
　『来てはダメ！』――そう言いたげに、咲琉は懸命に首を横に振っていた。

　ギガントロイドの赤い光の眼が、じろりと梨帆を射抜く。
　「データは持ってきたか？」

　「そんな物、持ってきてないわ！」梨帆は一歩も引かず、まっすぐに答えた。

　「何だと！？　人質がどうなってもいいのか！？」
　鋼の腕がぎしりと音を立て、咲琉の肩に影を落とす。

　梨帆はすぐに両手を前に出し、制止の声を上げた。
　「待って！　全てのデータを整理して渡すには時間がかかるの。それまで――私が代わりの人質になるから、咲琉ちゃんを解放して！」

　その言葉に、ギガントロイドの口元がニヤリと歪む。
　「……ふん、いいだろう」

　無骨な金属の手が鎖を外す音が響く。
　咲琉は解放されるや否や、梨帆のもとへ駆け寄った。

　「梨帆さん…私…！」
　「もう大丈夫よ。さあ、早く行って！」

　「ごめんなさい梨帆さん！　必ず助けに来ます！」
　咲琉は泣きながらも、後ろ髪を引かれる思いで走り出す。

　振り返ることなく去っていく少女の背中を見届け、梨帆はそっと目を細めた。
　――（みんな、時間は稼いだわよ。あとは頼んだからねッ！）

　鋼鉄の扉が閉まる音と同時に、梨帆の両腕は無情にも拘束され、冷たい鎖の感触が肌に食い込んだ。

（つづく）

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