BRAVERS EDITION　episode.100

※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。

休日のソフトクリームと青空と

陽光が差し込む安土市の街並み。石畳の歩道に落ちた木漏れ日がゆらめき、通りのカフェテラスからは微かにコーヒーの香りが漂っていた。

その通りを、ふたりの若い女性が並んで歩いていた。

ひとりはツインテールを揺らしながら、制服風のシャツとネクタイにジーンズのショートパンツという元気な出で立ち。もうひとりは、白のブレザーとショートパンツに、落ち着いた緑のトップスという清楚なコーディネート。どちらも手にソフトクリームを持ち、ときおり一口ずつ楽しげに舐めていた。

「やっぱ夏はバニラよね〜。このシンプルさが王道って感じ！」
「私はストロベリー。色も可愛いし、なんとなく癒される」

と、嬉しそうに微笑む霧崎麗香に、稲垣千秋は「うんうん」と頷きながらソフトクリームをくるりとひと舐めした。

ふたりは高校生の頃、かつての魔人銃士団ゼルバベルとの戦いの中でたまたま知り合い、そこから親友となった。通っていた高校は違ったが、話が合い、気がつけば週末ごとに会う仲になっていた。

「そういえばさ、麗香。私、明日からちょっとしばらく安土を離れるんだ」

「えっ、また出張？」

「うん。天舟島あまふねじまっていう太平洋のど真ん中にある孤島。安城重工の試験センターで、新しい飛行装備の実地演習があるの。スワローの調整、今ちょっと難航しててさ」

「……また虫多そうな場所じゃない？」

「そこ突っ込む〜？ まあ、確かにヤバいと思うけど、任務だし仕方ない。三日か四日で戻る予定だけど……ちょっと憂鬱」

「虫の件以外は、前向きなのにね」

ふたりは笑い合った。戦う者と、癒す者。それぞれの道を選んだ彼女たちだが、こうして過ごす時間は、何より大切だった。

「千秋が頑張ってるの、ちゃんと知ってるから。私も負けないように、病理のレポート仕上げるわ」

「ふふっ、そっちも大変そう。でも麗香って、やっぱり医者向きだと思うよ。戦いは私に任せて、病院の方は麗香が守ってくれたらいい」

「――じゃあ、帰ってきたら、また街歩きしよう？アイス食べ放題のとことか行きましょう」

「もちろん！今度は二個買っても怒らないから！」

軽快な笑い声が街角に響き、傾きかけた陽射しに包まれて、ふたりの影が寄り添うように延びていった。

それは、ヒーローであり、未来の医師の卵であるふたりの、何気ない、でも何よりも温かな休日のひとときだった。

静寂の孤島で

翌朝、晴天。青い空に真っ直ぐな陽光が降り注ぎ、太平洋に浮かぶ孤島――天舟島の海面がきらきらと輝いていた。

島に人影はほとんどない。ここは民間人が立ち入ることのない無人島。あるのは安城重工が極秘で運営する装備実用化試験センターただ一つ。稲垣千秋は、輸送用VTOL機で島の滑走路に降り立ち、白い施設のロビーに案内された。

そして、ブレイバーズの制服に身を包んだ彼女は、センターの責任者たちに丁寧に一礼した。

「安土のブレイバーズ本部から参りました、稲垣千秋です」

背筋を伸ばし、明瞭な声で名乗る千秋に、ひとりの壮年の男が微笑みながら応じる。

「はじめまして。当プロジェクトの責任者をしております、常務の谷茂岡泰利やもおか やすとしです」

温厚そうな笑みとは裏腹に、どこか胡乱な気配の漂うその男に続き、やや神経質そうな表情の技術者風の男が挨拶を続ける。

「同じく、開発主任の棚池たないけです。ようこそおいでくださいました。よろしくお願いします」

千秋は軽く会釈しながらも、すぐに本題を切り出した。

「早速ですが、機体の状態や環境の変化への適応も確認したいので、できるだけ早くテストに入りたいのですが？」

しかし、谷茂岡はにこやかに両手を軽く上げて制した。

「まあまあ、まだ初日ですし。この島までの道中、お疲れだったでしょう？今朝もかなり早かったと伺っています。無理はなさらず、今日はゆっくりされてはいかがですか？」

棚池も控えめな笑みを浮かべながら言葉を添える。

「ご覧の通り、娯楽らしいものは何もない島ですが、最低限の宿泊設備は整えてあります。まずはお部屋でゆっくり休まれてください」

千秋はやや拍子抜けしたように瞬きをし、少し肩の力を抜いた。

「は、はぁ……わかりました。では、お言葉に甘えて、今日は身体を慣らすくらいにしておきます」

センターの白衣の職員に案内され、宿泊区画へと向かう。通路は清潔に保たれていたが、どこか人工的で、冷たい空気が支配している。小さな鉄製のドアを開けると、シンプルなベッドとデスク、そして壁に備え付けられた収納棚があるだけの、無機質な個室が広がっていた。

（ここが、しばらくの仮住まいってわけか……）

千秋は制服の上着を脱ぎ、荷物をデスクの上に置いた。靴を脱いでベッドに腰を下ろし、思い切って背中を倒す。

「……ふぅ〜っ」

天井を仰ぎ、肩をほぐすように両腕を伸ばす。波の音も、人の気配もないこの島。聞こえるのは、空調の微かな風音だけだった。

（静かすぎるな……）

そう思いつつ、千秋はまぶたを閉じた。だがその時、彼女の知らぬところで、部屋の隅にある換気口の裏側に、小型の電子機器が微かな赤いランプを灯していた。

それは、盗聴器――。

千秋の一挙一動を、誰かが遠隔で観察している。誰が、何の目的で？　その全貌はまだ、千秋の知るところではなかった。

孤島の静寂に包まれた試験センター。その空気の中に、確かに「異質な何か」が潜んでいた。

（つづく）

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