※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
氷室専務の暗躍

東京・芝浦。鋼鉄とガラスで構成された亜斗夢重工本社ビルの高層階――重厚な楕円卓を囲む臨時取締役会は、静かな緊張に満ちていた。
議事の最後の書類が閉じられる。
「――では、本日の議事も尽くされたようですので、これにて散会といたします」
社長兼CEO、綾瀬秀太郎の声は落ち着いていた。トップに君臨する者だけが持つ、揺るぎない余裕が滲む。
「役員の皆さんにはご異議ございませんか?」
誰も口を開かない。わずかな沈黙が流れ――
「社長、よろしいでしょうか?」
その静寂を切り裂いたのは、専務取締役・氷室公成だった。
ゆっくりと挙手し、音もなく立ち上がる。その所作には無駄がなく、場の空気を支配する冷ややかな気配があった。細められた目は鋭く、獲物を逃さぬ猛禽のように秀太郎を射抜く。
「どうぞ、氷室専務」
秀太郎は微笑を崩さない。
「そろそろ我々役員一同にも――“X部門”について、詳細を明かしてはいただけませんでしょうか?」
ざわり、と空気が揺れた。
“X部門”。社内でも一部の人間しか知らぬと言われる、謎の研究部門のことを指し示す隠語。予算規模だけが異様に大きく、しかし実態は霧の中――そんな存在だった。
秀太郎はわずかに首を傾げる。
「X部門……? はて、何のことやら……」
とぼけた声音。しかし氷室は薄く笑った。
「フフフ……なかなかお惚けもお上手ですな。例の“新規社会貢献プロジェクトの研究部門”のことですよ」
言葉の端々に、確信が滲む。
「我が社の事業利益を社会に還元する試み――その理念自体は結構。しかし、内情をここまで伏せる理由は何です? 透明性を欠く事業は、いずれ企業統治に重大な影響を及ぼしかねません」
静かだが、逃げ場のない詰問だった。
数名の役員が息を呑む。
だが秀太郎は、わずかに視線を伏せただけで、すぐに顔を上げた。
「あぁ、あの件かね」
淡々とした口調。
「その部門については、すでに会長と副社長から承認を得ている。よって、改めて諮る必要はないと判断している」
「……秘密主義とは、あなたらしくもない」
氷室の声が一段低くなる。
秀太郎はそこで初めて、わずかに真剣な色を見せた。
「当該部門の詳細は、地球連邦政府及び“ブレイバーズ”との機密保護協定に基づき、指定された者以外には開示できない」
その一言で、場の空気は完全に凍りついた。
国家レベルの機関――その関与を匂わせる言葉。
「役員といえど例外ではない。……そこは理解してくれたまえ」
それ以上の追及は無意味だと、明確に示す声音だった。
氷室はしばし沈黙し――
「………承知いたしました」
そう言って、ゆっくりと席に腰を下ろした。
だがその目は、決して納得していなかった。
***
同日、専務室。
「おのれ秀太郎めェェェッ!!」
――ドンッ!!
氷室は新聞を床に叩きつけた。
先ほどまでの冷静沈着な姿はどこへやら、顔は怒りで真っ赤である。
「この私が何も知らないとでも思っているのかぁぁぁ!!」
床に落ちた新聞を、おずおずと拾い上げる男がいた。専務補佐の三枝万蔵である。
「いやぁ専務、床に投げると紙がシワになりますで……あ、これまたヴァルダーの記事ですなぁ」
のんびりと紙面を広げる。
「ほら見てください、“謎の重機型スーツで銀行強盗団を制圧!”ですて。いやぁ人気ありますなぁ。実はうちの娘も大ファンでして――」
「そんな悠長に言ってる場合かァァァ!!」
氷室、机をバンッと叩く。
三枝、ビクゥッ!!
「そもそも三枝ぁ!! 貴様がいつまで経っても秀太郎とX部門に関わる尻尾を掴めんから、奴にいつまでもこんなヒーローごっこを許しているのだぞ!!」
「ヒ、ヒーローごっこ言うたら怒られまっせ……なんかX部門――スーパーヒーロー事業部には、政府当局も密接に関わってるらしいですし、あまりちょっかい出さん方がええんとちゃいまっか…?」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れェェェ!!」
怒号が室内に反響する。
「我が社の組織図に“スーパーヒーロー事業部”などという部署はない!! ないものはないのだ!!」
「で、でも現にヒーローおるやないですかぁ……」
「うるさぁい!!」
バシィッ!!
氷室、新聞を取り上げて再び机に叩きつける。
「いいか三枝! あの“ヴァルダー”とやら――あれは必ず秀太郎と繋がっている! いや、間違いない!! むしろ本人の可能性すらある!!」
「えぇ!? 社長があんなド派手なスーツ着て戦うんですか!? それはちょっと見てみたい気も……」
「想像するなァァァ!!」
三枝、またビクゥッ!!
「とにかくだ! なんとしても証拠を掴め!! 決定的なやつだ!! 写真でも動画でも現行犯でもいい!!」
「げ、現行犯て……何をどう現行犯に……」
「それを考えるのが貴様の仕事だろうがァァァ!!」
「は、はいぃぃぃ~!!💦」
三枝は慌てた様子で、ドタバタと部屋を飛び出していった。

バタン、と扉が閉まる。
再び静寂。
氷室はふぅ、と荒い息を吐き、ゆっくりと窓の方へ歩み寄る。
眼下には東京湾。そして都市に並び立つ高層オフィスビル街の光景。
「……秀太郎め」
低く、しかし確固たる声。
「必ずや貴様を社長の座から引き摺り下ろして見せるぞ……」
その瞳には、野心の炎が静かに燃えていた。
テニス対決
同じ頃――海防大学キャンパス。
初夏の陽射しがやわらかく芝生を照らす中庭で、ひときわ目立つ“お説教タイム”が展開されていた。

「たまには部活に出て来ないと駄目だぞぉ~」
頬をぷくーっと膨らませながら腕を組むのは、女子テニス部2年の阿佐光花。その声音は相変わらずふんわりしているのに、しっかり怒っているのが分かる絶妙な圧がある。
「サーセン……」
対する西沢基樹は、神妙な顔でぺこりと頭を下げた。
――が。
(やっべぇ~……怒った顔もかわええ~……)
内心はまるで反省していない。
むしろご褒美である。
「もうぉ~、ちゃんと来ないとぉ、試合にも出られなくなるかもぉ?」
「は、はいっス……気をつけます……」
(試合? うん、出る気ないっス……でも先輩は見たいっス……)
光花はため息をひとつつき、しかしすぐに表情をゆるめた。
「でもねぇ、たまにでも顔出してくれるとぉ、みんな嬉しいんだよぉ?」
その一言に、ほんの少しだけ基樹の表情が引き締まる。
「……あれっ? そういえば遼馬のやつは……?」
「皆上くんなら、もうテニスコートに行ったみたいだよぉ」
「へぇ……珍しいじゃん……」
(いや、あいつがテニスって逆に怪しいな。今日は助っ人を頼まれてるとも聞いてなかったけど……)
そんな予感が、妙に胸に引っかかった。
***
一方その頃、大学構内のテニスコート。
――そこは、すでに“試合前”とは思えない異様な熱気に包まれていた。
コート中央でラケットを肩に担いでいるのは、皆上遼馬。その正面には、いかにも上流階級といった風格の青年――舘小路悠雅が立っていた。綾瀬早弥香本人非公認ファンクラブ会員番号№001。
その背後には、取り巻きの学生たちがずらりと並んでいる。

「皆上」
悠雅がゆっくりと口を開く。
「僕は常々思っていたのだよ。お前のような庶民……しかもキモい特撮オタク野郎が、早弥香さんの隣にいるなど――不釣り合いにも程があるとね」
周囲の取り巻きたちがクスクスと笑う。
だが遼馬は、まっすぐに相手を見据えたままだ。
「僕が勝ったら――」
悠雅はラケットを構え、芝居がかった仕草で言い放つ。
「早弥香さんとは潔く別れてもらうぞ!」
空気がピリッと張り詰める。
しかし遼馬は、肩の力を抜いたまま答えた。
「いいッスよ」
あまりにもあっさりした返答に、周囲がどよめく。
「ただし――」
遼馬の目が鋭くなる。
「俺が勝ったら、さっき先輩が特撮ヒーローに向けて放った侮蔑的な言葉、取り消してもらいます」
一瞬、空気が凍る。
「俺のことは何とでも言っていいッスけど……あれだけは、許せません」
その声音は、静かだが確固たる怒りを帯びていた。
悠雅は一拍置き――そして高笑いする。
「フハハハハ!! よかろう!」
ラケットをくるりと回す。
「多少格闘技の心得があるからと言って、所詮テニスは素人同然! この僕に勝てると思うな!」
完全に見下しきった態度だった。
その騒ぎは、当然ながら隣の女子テニスコートにも伝わっていた。
「ねぇねぇ、あれ何の騒ぎなのぉ?」
ルナ=ハートウェルが興味津々で顔を覗かせる。
近くにいた男子部員が苦笑しながら答えた。
「これから舘小路先輩と皆上が、綾瀬さんを巡ってテニスで決闘だってさ」
「えっ」
その言葉に、早弥香の顔色が変わる。
「それって本当なの!?」
思わず一歩踏み出す。
視線の先には、コート中央に立つ遼馬の姿。
いつも通りの無造作な立ち方――なのに、どこか違う。
まるで戦う前の静かな獣のような、張り詰めた気配。

「遼馬……」
思わず名前を呼ぶ。
その声は、風に紛れて届いたかどうか分からない。
だが遼馬は、ほんの一瞬だけ――こちらに視線を向けた。
そして、わずかに笑った。
――大丈夫だ、とでも言うように。
次の瞬間。
「さぁ、始めようじゃないか!」
悠雅の声が響き、ボールが高くトスされる。
日常と非日常が交差するコートで――
奇妙な決闘が、いま始まろうとしていた。
(つづく)

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