旧知の仲であるシーディングリア連邦王国の王太子エリオス=ノエル=ハーヴィンから依頼を受けたシルカイ族の次期族長レイヴンは、国境近くで失踪した隣国ウィングランドの王女フィオレンティーナの行方を追う。エリオスが案内役としてつけてくれた近衛騎士のカイ=ルシアードと共に失踪現場の街道を捜索するレイヴンと妹セリーナだったが、そこで3人は、カイの幼馴染ミレイアが山賊に連れ去られる現場を目撃した。山賊一味を成敗しミレイアを救出、そしてフィオレンティーナ姫を乗せていた馬車を発見したレイヴンたちだったが、それ以上の手がかりは得られなかった。
※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
エルダリス村へにて

エルダリス村は、午後の陽光に包まれていた。
木造の家々が並ぶ素朴な村道には、久しぶりの活気が満ちている。
山賊の脅威から解放された安堵と、英雄たちの帰還――その二つが重なり、村人たちは口々に歓声を上げていた。
「おお、あんたたちが噂の――!」
「山賊をやっつけた騎士様たちだ!」
拍手と感謝の言葉が、次々に降り注ぐ。
レイヴンは少し照れたように頭を掻き、セリーナは戸惑いながらも丁寧に礼を返した。
そして、その中心に立たされているのがカイだった。
「……帰ってきたんだな」
彼は懐かしそうに村を見渡す。
ここは、彼が剣を握る前、騎士になる夢を語っていた場所だった。
ミレイアの家――薬師を営む質素な家の前で、年配の男が深々と頭を下げた。
「娘を助けてくれて、本当にありがとう」
それはミレイアの父親だった。
皺の刻まれた顔には、安堵と感謝がにじんでいる。
「君たちがいなかったら……娘は今頃、どうなっていたか……」
「いえ」
カイは慌てて首を振る。
「当然のことをしたまでです。おやっさん……お久しぶりです。お元気そうで何よりです」
「ははっ!」
父親は豪快に笑った。
「あのやんちゃ坊主が、今や王宮に仕える近衛騎士様か。立派になったなぁ!」
「や、やめてくださいよ……」
照れるカイをよそに、ミレイアが一歩前に出る。
「皆さん、狭い家ですけど……どうか上がって寛いでください」
こうして一行は、薬草の香りがほのかに漂う家の中で、束の間の休息を取ることになった。
――だが、その安らぎは長くは続かなかった。
戸外から、切迫した足音と叫び声が聞こえてくる。
「カイさまァァッッ!!」
扉が勢いよく開き、村の役人が血相を変えて飛び込んできた。
手には、一羽の伝書鳩。
「どうしたんだ?」
カイが立ち上がる。
「ノストンの王宮から……急ぎの伝書鳩です!」
「なに?」
カイは鳩の足に結ばれた文書をほどき、素早く目を走らせた。
次第に、表情が引き締まる。
「……エリオス殿下からだ」
「なんて書いてあるんだ?」
レイヴンが身を乗り出す。
「フィオレンティーナ姫を連れ去ったと主張する何者かが……王宮に接触してきたそうです」
「何ですって!?」
セリーナの声が上ずる。
「至急、王都に戻りましょう!」
「わかった」
レイヴンは即答した。
支度を整える間、ミレイアはそっとカイの袖を掴んだ。
「……もう行っちゃうの?」
その瞳には、寂しさが滲んでいる。
「久しぶりに帰って来られたのに……」
カイは一瞬、言葉に詰まり、それから柔らかく笑った。
「里帰りの機会なら、きっとまたあるさ」
そして、少しだけ真剣な顔になる。
「山賊はいなくなったからって、もう一人でのこのこ山に出かけたりするなよ?」
「うん……分かった。気を付ける」
ミレイアは小さく頷き、それから、少し間を置いて付け加えた。
「……カイも」
「?」
「お城で、他の女の子に気軽に話しかけたりしちゃダメだからね……?」
「はぁ?」
カイは素っ頓狂な声を上げた。
「何でだよ……?」
その瞬間。
「……もうっ!」
ミレイアはぷぅっと頬を膨らませ、
「知らない!」
そう言い捨てて、ぷいっと横を向き、足早に立ち去ってしまった。
取り残されたカイは、完全に理解できないという顔でその背中を見送る。
「……な、何なんだ?💦」
その様子を見て、レイヴンとセリーナは顔を見合わせ――
「ふふっ……」
「くく……」
必死に笑いを堪えていた。
こうして、束の間の凱旋は終わりを告げる。
彼らは再び、運命の渦巻く王都ノストンへと向かうのだった。
フィオレンティーナ姫を巡る事件は、いよいよ核心へと近づこうとしていた。
謎の脅迫状

王都ノストンの王宮は、いつになく重い空気に包まれていた。高い天井に反響する足音が、静まり返った回廊に不吉な予感を連れてくる。
伝書鳩の報せを受けて駆け戻った近衛騎士カイ=ルシアードと、シルカイ族次期族長レイヴン、その妹セリーナが王太子の間に足を踏み入れると、そこにはすでにエリオス王子と、その側近でありカイの同僚でもある近衛騎士レオナルト=ヴァルグレイヴの姿があった。

エリオスの表情は、いつもの穏やかな笑みを帯びながらも、どこか張りつめている。
「エリオス……」
レイヴンが低く声をかけると、王子は小さくうなずいた。
「フィオレンティーナ姫を拐かした犯人から接触があったというのは、本当なのか?」
問い詰めるようなレイヴンの言葉に、エリオスは答えの代わりに一通の書簡を差し出した。
「まずはこれを読んでくれ」
封蝋を切り、目を走らせたレイヴンの顔が、みるみる険しさを増していく。
――フィオレンティーナ姫を助けたくば、明日の夕刻、フォルメス山の麓にある砦跡にエリオス王子一人で来られたし。
――もし護衛を連れていた場合は、即座に姫の命はないものと心得よ。
「……ふざけた真似を」
紙を握りしめたレイヴンが、怒りを噛み殺すように呟く。
「まさか、本当に一人で行く気じゃないだろうな?」
「行くしかないだろう」
エリオスの答えは、驚くほど迷いがなかった。
「そんな……!」
思わず声を上げたのはセリーナだった。
「危険です! どんな罠が待ち構えているかも分からないのに!」
「そうですよ、殿下!」
カイも一歩前に出る。
「相手は、ウィングランドの騎士団すら翻弄する連中です。一人で向かうなんて、あまりにも――」
「私も同じ意見だ」
重く口を開いたのはレオナルトだった。
「殿下には私からも幾度となく申し上げた。しかし……」
彼は苦笑し、肩をすくめる。
「一度決めたことを決して曲げられぬ殿下の御気性は、カイもレイヴン殿も重々承知しているだろう?」
「それでも……!」
セリーナは唇を噛みしめ、両目に涙を浮かべてエリオスを見つめた。
「もし殿下の身に、もしものことがあったら……私は……私は……!」
言葉は嗚咽に途切れ、声にならない。
「お願い……!」
彼女は必死に振り返り、兄に縋るように叫んだ。
「兄さんからも止めて!」
玉座の間に、沈黙が落ちる。
レイヴンはしばらく目を伏せていたが、やがて大きく息を吐き、エリオスを真っ直ぐに見据えた。
「……分かったよ、エリオス」
セリーナがはっと顔を上げる。
「兄さん……!?」
「行って来な」
レイヴンはいつもの皮肉めいた笑みを浮かべながらも、その瞳は真剣そのものだった。
「もし万一のことがあったら――お前の骨は、俺が拾ってやる」
それは突き放す言葉ではなく、覚悟を認めた者にだけ向けられる、シルカイ族流の信頼の証だった。
エリオスは一瞬目を見開き、そして静かに微笑んだ。
「ありがとう、レイヴン」
彼は深く頷く。
「後は、頼む」
その言葉に、カイは拳を握りしめ、セリーナは涙をこらえてうつむいた。
王子は、明日の夕刻――ただ一人、運命の砦へと向かう。
その背を見送る者たちは皆、同じ思いを胸に抱いていた。
――必ず、生きて帰ってこい、と。
そして、一方その頃、囚われのフィオレンティーナ姫はというと――

「んんむーっ!! んむぐんんぅぅ~っっ!!」
侍女のマルグリッドから引き離され、一人大きな木箱の中に縛られたまま押し込められるフィオレンティーナ姫。姫の悲痛な呻き声が響く中、上から蓋が被せられ釘が幾つも打ち付けられる。
「フフフッ…姫、今しばらくのご辛抱にございますぞ」( ̄ー ̄)ニヤリ
(つづく)


コメント
ようやくお目にかかれた素敵な御姿のフィオレンティーナ姫❤
>>「フフフッ…姫、今しばらくのご辛抱にございますぞ」( ̄ー ̄)ニヤリ
もしかして、目的地に辿り着いたら拘束が解かれてしまうパターン🥶?
> もしかして、目的地に辿り着いたら拘束が解かれてしまうパターン🥶?
さあ、それはどうでしょうか?
果たしてフィオレンティーナ姫はどこへ連れて行かれるのやら…。
今年一年ありがとうございました。
どうかよいお年をお迎えください。
錦を着て故郷に帰る近衛騎士カイと、レイヴン、そしてセリーナちゃん、成り行きだが山賊を討伐したことで大歓迎され、ミレイアちゃんのパパからも感謝され、もうすっかり勇者様、歓迎の宴でも始まりそうな感じですね、ところでカイ…実家に帰らんでええのか?
ここでフィオレンティーナ王女の情報を得ると言う名目で、久々の故郷でゆっくり出来ると思ったら、あちらの方から事態が動きだした、とっとと戻って来いと!
帰り際、ミレイアちゃんから「浮気したらシメるぞ…」と言われながら(言ってない!)、急ぎ王都へともどる一向、待っていたのはフィオレンティーナ王女を誘拐した人間からの脅迫状…
>――フィオレンティーナ姫を助けたくば、明日の夕刻、フォルメス山の麓にある砦跡にエリオス王子一人で来られたし。
>――もし護衛を連れていた場合は、即座に姫の命はないものと心得よ。
普通なら…
「一国の王太子を脅迫するとは良い度胸してんじゃねーか、1人で来いとか舐めてんのか?姫の命がない?顔も見た事ない姫のことなんて知るか!今から大軍で乗り込んでぶっ潰してやる、覚悟しとけや!💢」
…ってなるのでしょうけど、こいつ…エリオス殿下の性格知ってますね…やはりシーディングリアの内情詳しいですね、しかもこっちが姫を探しているのに気づいて、今まで痕跡すら隠してたのに今度は堂々と脅迫とかしてくるとか、いや本当に何を考えているのか分からない相手ですね…
勿論皆が止めに入るのですが、これ知ってるの多分他には側近の近衛騎士のレオナルトだけでしょうね、陛下あたりに知られたら監禁される事案ですよ…
だが、一度決めたら決して曲げないエリオス殿下、そのことを知ってか親友のレイヴンはその背中を押す…流石レイヴン…漢ですね…エリオス殿下に何かあったら側近の近衛騎士共々自分も処される覚悟があるということですね!(オイ!
そして自らの命を懸け、顔も見た事もない姫を助けに、1人…敵が待ち受ける砦へと向かう…果たしてその先に何が待ち受けているのか…!?
その頃フィオレンティーナ王女は…箱に梱包されていた!
これ…絶対に今回返す気ないだろ、多分このまままた、別の所へと飛ばされるであろうフィオレンティーナ王女、彼女が自由になれるのはいつになるのだろうか…自分的にはあっさり助け出されなくて良かったと思ってます、王女には悪いですが…
そういえば冒険者の双子…今回の話に繋げるとなるとなかなか設定が思いつかないですね…当分先の次の機会になるかもですね…
上江洲 紗樹ちゃん…胡桃って名前が先に決まってたっぽいですね、本当に紗樹で良いのでしょうか?
> ところでカイ…実家に帰らんでええのか?
まだ詳しい設定は何も決めていませんが、実はカイは孤児で天涯孤独の身の上であり、ミレイアの父親のことを「おやっさん」と呼んでいましたから、カイにとっても彼は父親代わりでミレイアと兄妹のように育てられたのかも。この手の異世界ファンタジー物にはありがちなお話…💦
> 陛下あたりに知られたら監禁される事案ですよ…
これもまだ決めたわけではないですけれども、父王が出て来ないのは病気がちで臥せっているからで、国の実権はもうエリオスが握っていたりして(;^_^A アセアセ・・・
> そして自らの命を懸け、顔も見た事もない姫を助けに、1人…敵が待ち受ける砦へと向かう…果たしてその先に何が待ち受けているのか…!?
フィオレンティーナ姫の安否もさることながら、もし姫に万一のことが起こってしまった場合、隣国ウィングランドとの外交関係がこじれて最悪戦争なんて事態になったらシーディングリアの国民も被害を被るので、それを避けるためにやれるべきことはやるという王太子としての責任感もあると思います。
> 自分的にはあっさり助け出されなくて良かったと思ってます、王女には悪いですが…
なるべくフィオレンティーナ姫の拘束が長引くように努力します(;^_^A アセアセ・・・
> そういえば冒険者の双子…今回の話に繋げるとなるとなかなか設定が思いつかないですね…当分先の次の機会になるかもですね…
今回は双子ちゃん(シーフ姉とソーサリス妹)の出番はなさそうですね。
> 上江洲 紗樹ちゃん…胡桃って名前が先に決まってたっぽいですね、本当に紗樹で良いのでしょうか?
管理人は紗樹ちゃんでよいと思いますが、旅鴉様はどちらがよいと思いますか?
今ならまだいくらでも変更可能ですので、忌憚のないご意見をお聞かせください。
旅鴉様には今年一年大変お世話になりました。
どうかよいお年をお迎えください。
山賊一味は殲滅したもののフィオレンティーナ姫につながる手掛かりは得られなかった一行。カイ君の故郷エルダリス村で一息のはずが、王都からの急報。誘拐犯の要求はエリオス王子一人で指定の場所に…。ひょっとしてこれはエリオス王子のGIDのフラグ⁉次回いよいよ誘拐犯が姿を現しそうですが今回の締めのセリフの口調が、旅鴉様と同じ予感を感じ取りました。
> ひょっとしてこれはエリオス王子のGIDのフラグ⁉
姫を人質に取られ「姫の命が惜しかったら剣を捨てろ!」とか言われたら、エリオス王子もそのまま捕まっちゃいそうですね(;^_^A アセアセ・・・
> 次回いよいよ誘拐犯が姿を現しそうですが今回の締めのセリフの口調が、旅鴉様と同じ予感を感じ取りました。
実はここに至ってまだ誘拐犯の正体を考え付いていないという…💦
でも旅鴉様からのコメントおかげで「シーディングリアの内情に詳しい」とか、その人物像は徐々に出来上がりつつあります。
bakubond様には今年一年大変お世話になりました。
また来年もよろしくお願いいたします。
どうかよいお年をお迎えください。